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「終活」の一つになり得る? 楽しそうな高齢者に共通する「ターニングポイント」の正体

楽しそうな高齢者には、ターニングポイントがある

 これは高齢期も同じであると、高齢者に関する研究活動を行う筆者は考えます。

 高齢期を迎えると、仕事や収入、家族や友人関係、周辺環境などで大きな変化が訪れます。そして、その期間は今や20~30年で、職業人生や成人するまでに要する年数に匹敵する長さです。

 また、「何十年も前からの友人が高齢期になっても近くにいて、今でも一緒に楽しんでいる」というようなケースはあまりありません。何らかの事情で離れ離れになり、「年賀状だけ」とか「たまに連絡するくらい」といった関係になるのが普通です。

 こういった状況を放置して、代わり映えしない日々を過ごすには高齢期は長すぎるわけで、高齢期にもやはり、ターニングポイントとなる偶然の出来事や出会いは欠かせません。

 筆者は多くの高齢者を取材してきていますが、楽しそうな人たちを見ていると、高齢期に入って新しい友達、場、活動と巡り合った人がかなり多いように感じます。

 趣味やスポーツの会に参加している人、ボランティアなど地域活動に取り組む人、そのほか活動的に暮らしている人たちに話をうかがうと、そのきっかけは、だいたい高齢期に入ってからできた仲間によるものであるようです。また、高齢者住宅に住み替えた人の話を聞くと、「新しい仲間や場を求めて」という目的の人も多くいます。

「時間を持て余さないように、やりたいことや生活スタイルを決めて高齢期を迎えよう」「高齢期を迎える前に、趣味など何か没頭できるものを持とう」という話をよく聞きますが、これは計画を重視する“キャリアデザイン”と同じ発想です。もちろん、計画を立てるのは悪いことではありませんが、実際には、「計画を立てれば楽しい高齢期になる」という単純なものではないでしょう。職業人生において、目標や、なりたい姿とそれまでのプロセスを綿密に計画しても、その通りになる可能性がほとんどないのと同じことです。

 それまでの人生と同様、長い高齢期には偶然の出来事による転機が必要です。高齢期は、何もしなければ徐々に人との関係や場を失っていく傾向にありますから、若い人たちよりもさらに、その必要性を認識しておいた方がよいでしょう。偶然の出会いや出来事が起こりやすい環境に身を置いているかどうかを、「終活」の一つに加えてみるのもいいと思います。

(NPO法人・老いの工学研究所 理事長 川口雅裕)

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川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

NPO法人「老いの工学研究所」理事長、一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

1964年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルートグループで人事部門を中心にキャリアを積む。退社後、2012年より高齢者・高齢社会に関する研究活動を開始。高齢社会に関する講演や執筆活動を行うほか、新聞・テレビなどのメディアにも多数取り上げられている。著書に「年寄りは集まって住め ~幸福長寿の新・方程式」(幻冬舎)、「だから社員が育たない」(労働調査会)、「チームづくりのマネジメント再入門」(メディカ出版)、「速習! 看護管理者のためのフレームワーク思考53」(メディカ出版)、「なりたい老人になろう~65歳から楽しい年のとり方」(Kindle版)、「なが生きしたけりゃ 居場所が9割」(みらいパブリッシング)、「老い上手」(PHP出版)など。老いの工学研究所(https://www.oikohken.or.jp/)。

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