太さ? 原材料? 「そうめん」「ひやむぎ」の違いは? 揖保乃糸の販売元に聞く
「そうめん」と「ひやむぎ」は、何が違うのでしょうか。「揖保乃糸」を販売する兵庫県手延素麺(てのべそうめん)協同組合の担当者に聞きました。

暑い夏は、「そうめん」「ひやむぎ」がよく食べられます。ただ、そうめんとひやむぎは、形や食感が似ているため、SNS上では、「そうめんとひやむぎの違いがよく分からない」「違いがよく分からないまま大人になった」などの意見が多く上がっています。
「そうめん」「ひやむぎ」には、どのような違いがあるのでしょうか。「揖保乃糸」を販売する兵庫県手延素麺(てのべそうめん)協同組合(兵庫県たつの市)の担当者に聞きました。
「機械製」「手延べ」で基準が異なる
Q.そもそも、そうめん、ひやむぎ、うどんの違いについて、教えてください。
担当者「乾めん類の日本農林規格(JAS規格)では、そうめんは長径1.3ミリ未満、ひやむぎは1.3ミリ以上1.7ミリ未満、うどんは1.7ミリ以上とそれぞれ定義されています。
ただし、これは機械製乾麺についての定義です。当組合の揖保乃糸のように、小麦粉に食塩水を混ぜてよく練った後、帯状に切り出し、それを数本合わせて1本にし、よりをかけながら引き伸ばしと熟成を何度も繰り返し、乾燥させて製造する『手延べ麺』の場合、長径1.7ミリ未満であれば、日本農林規格上、そうめん、ひやむぎ、どちらの呼び方でも構いません。
例えば、徳島県の名産である『半田そうめん』は、通常のそうめんよりも太いですが、昔からそうめんと呼ばれ、親しまれてきました。そのため、こうした歴史に配慮し、そうめんとして販売されています。揖保乃糸でも、長径が1.1~1.5ミリ程度と、通常のそうめんよりも少し太く、ボリューミーでモチモチと歯切れのよい食感に仕上げた『太づくり』というそうめんがあります」
Q.揖保乃糸のそうめんとひやむぎを比べた場合、味や食感に違いはあるのでしょうか。
担当者「揖保乃糸のひやむぎは、そうめんよりも一層ソフトなモチモチとした歯ごたえとつるっとした喉越しが感じられるのが特徴です」
Q.そうめんとひやむぎは、どの地域でもよく食べられる物なのでしょうか。それとも、地域によってはあまり食べられない物なのでしょうか。
担当者「気候、風土的な要因から、西日本には主要な手延べそうめんの産地が多く存在するため、そうめんが食べられる傾向にあります。
一方、東日本には手延べそうめんの産地は少なく、元々うどんやそばのような切麺として普及していったひやむぎの認知度が高い傾向にあるようです。冬は太くて冷めにくいうどん、夏は細く冷たいひやむぎ、と季節に応じて食べ分けられていたとされています。ただ、現在は関東地方でも、ひやむぎよりもそうめんの認知が高くなっています」
Q.そうめんとひやむぎの製造時期について、教えてください。
担当者「揖保乃糸の場合、例年、10月から翌年4月にかけてそうめんを製造しております。寒さがピークを迎え、温度、湿度が特に安定する12月から翌年2月ごろが製造の最盛期です。一方、揖保乃糸の『手延ひやむぎ』は、例年5月と9月に製造しています」
Q.そうめんとひやむぎは、それぞれどのように調理をして食べるとよいのでしょうか。お勧めの調理方法について、教えてください。
担当者「実は、そうめんとひやむぎは、さまざまな調理方法でおいしくすることができる万能食材です。シンプルに王道の冷やしでめんつゆにつけてお召し上がりいただくほかにも、例えば、温かくして食べるのもお勧めで、特に西日本では『にゅうめん』として、冬に温かいだしをかけて食べられています。
他にも、沖縄の『そうめんチャンプルー』に代表されるように、炒めたり、あえたり、サラダ風にしたりとアレンジは無限大です。ひやむぎは生パスタに近い食感があり、市販のパスタソースと合わせて食べるのもお勧めです。
揖保乃糸の公式サイトでは、そうめんに関するさまざまなアレンジレシピを公開しています。ぜひ作ってみてはいかがでしょうか」
(オトナンサー編集部)
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