シイタケの「軸」、食べる? 捨てる? 実は「かさ」よりうまみが豊富! 管理栄養士に聞いてみた
シイタケのかさの下についている「軸」。この部分を「食べている人」と「捨てている人」に分かれるようです。実際どうするのがいいのか、管理栄養士に聞いてみました。
キノコ類の中でも、肉厚で食べ応えがあるのが特徴の「シイタケ」。さまざまな家庭料理のレシピで活躍する食材です。シイタケといえば、かさの下に「軸」の部分がついていますが、あなたはこの「軸」の部分を食べますか。それとも、取り除いて捨てますか。ネット上では、「軸も大好きです」「刻んで具にする」「捨てるのもったいない」という人と、「いつも切って捨ててる…」「母親が捨てていたので、料理に使う習慣がなかった」という人に分かれるようです。
食べるのか、それとも捨てるのか……シイタケの「軸」はどうするのがよいのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。
「かさから下が全て石づき」と勘違いされることも?
Q.そもそも、「シイタケ」とはどんな食材ですか。
岸さん「シイタケは、日本で最も栽培の多いキシメジ科キノコ属のキノコです。菌床栽培が普及したことにより一年中出回りますが、本来の旬は3~5月、9~11月です。春は身が締まってうまみが凝縮しており、冬は香り高い風味が特徴で鍋ものによく合うため、寒くなる時期に最も出荷が増えます。
シイタケは収穫する時期によってそれぞれ呼び方があり、2月〜4月ごろが『春子(はるこ)、藤の花が咲く頃が『藤子(ふじこ)』、10月〜12月ごろが『秋子(あきこ)』、そして12月〜1月ごろが『寒子(かんこ)』といいます。また、乾燥シイタケでは、かさが開ききっていない肉厚のものは『冬子(どんこ)』、かさが開いていて薄いものは『香信(こうしん)』、その中間が『香茹(こうこ)』と呼ばれています。これは、かさの開き具合という“見た目”による呼び方であり、品種は関係ありません。
シイタケは煮ても、焼いても、揚げても、干してもおいしく調理できる上、肉厚でプリッとした食感や芳醇(ほうじゅん)な香り、あふれ出すだしの奥深さには、“キノコの王様”ともいわれる魅力があります。ただ、その独特な香りと、加熱したときのぬるっとした食感などから、好き嫌いが分かれる食材でもあります」
Q.シイタケの「軸」には、どんな栄養素が含まれているのですか。
岸さん「軸はかさの部分と同様に、食物繊維やビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、カリウムなどを多く含んでいる他、うまみ成分であるグルタミン酸や、干しシイタケにはグアニル酸も含まれます。また、免疫力を高め、がん予防に効果を発揮するといわれている『レンチナン』や、血圧を正常に保ち、血中のコレステロール値を下げる働きをする『エリタデニン』など、シイタケ特有の成分も含まれています。
ビタミン類では、カルシウムの吸収率を高め、歯や骨を丈夫にする効果があるビタミンDがたっぷり含まれることが特徴的です。これは紫外線に当てると増えるため、天日干しした乾燥シイタケは特に豊富です。生のシイタケも、かさの内側のヒダの部分を上にして1~2時間程度日光に当ててから使用すると、より効率よくビタミンDを摂取することができます。
なお、シイタケの軸は、甘みや、うまみであるアスパラギン酸がかさの部分よりも多いです。特にオルニチンはかさの2倍以上も含みます」
Q.シイタケの軸について、「食べる」人と「食べない(捨てる)」という人に分かれるようですが、この部分はどうするのがよいのでしょうか。
岸さん「シイタケの軸は筋っぽくて硬く、食べにくい部分ではあるので、苦手な場合は無理に食べる必要はないと思います。その一方で、シイタケは『かさ』『軸』『石づき』の3つの部位に分けられますが、『かさから下が全て石づき』と勘違いされることも多く、食べられること自体知らないという人もいるようです。
先述したように、軸の部分にもかさの部分と同じように栄養素が含まれ、うまみ成分を含むアミノ酸はかさの部分よりも多いため、食べやすく調理した上で、ぜひ食べてみてほしい部分です」
Q.シイタケの軸をおいしく食べるための調理法や、注意点とは。
岸さん「軸は固く、そのまま料理に使ってもおいしく食べられない場合があるため、食べやすく切って使用しましょう。軸にも食物繊維がたっぷり含まれ、繊維質が縦に並ぶため、カニカマのように指で割くことができます。割けばきんぴらにできる他、細かく刻めば炊き込みご飯の具にしたり、ギョーザやハンバーグのタネに入れ込んだりして、うまみや栄養をプラスできます。
『軸の部分はすぐに使わない』という場合は、軸を小さめにカットして冷凍保存しておくと、だしなどに利用できて便利です。冷凍することでしっかりだしが出るため、スープなどの具として使うのがお勧めです。キノコの風味やうまみ、栄養がプラスされた、深い味わいの汁ものになります。
なお、生のシイタケの保存期間は短く、冷蔵庫で1週間弱。ぬめりがある、異臭がする、かさの内側が黒い、手で持ったときに水分を感じる場合は傷んでしまっている可能性が高いため、食べない方がよいでしょう」
(オトナンサー編集部)
本文を一部修正しました(7月25日14時15分)。
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