モルトが嫉妬? 原料は涙? 群馬産ビールのポエムが「斬新すぎる」と話題に、狙いを聞く
群馬県太田市のクラフトビール「CHROA」のラベルに掲載されているポエムが「斬新すぎる」と話題になっています。その狙いとは一体――。

群馬県太田市のクラフトビール「CHROA(クロア)」のラベルに掲載されているポエム(詩)が「斬新すぎる」と話題になっています。「嫉妬した身勝手なモルト」「恋涙を主原料とした甘み」などの表現に、SNS上では「なんだこの文章の破壊力」「言葉の意味は分からんがとにかくすごい自信」「嫌いじゃないよ、こういうポエム」といった声が上がっています。ポエムを付けた狙いを取材しました。
ポエム効果でビール購入者が急増

「クロア」を製造しているのは「夢麦酒(ビール)太田」。ポエムを書いたのは、米国などで活躍するファッションホイールデザイナーの片岡達也さんです。ロックミュージシャンやモデル、大学講師などの経歴に加え、東京・新宿でホームレス経験もあるという片岡さん。太田市出身の縁で「クロア」をプロデュースすることになったそうです。
ラベルに書かれた、片岡さんのポエムの一部は以下の通りです。
・口に含むと初恋のような柑橘(かんきつ)系ホップを否定するように、嫉妬した身勝手なモルトが教えてくれる大人の初恋。男は最初の男になりたくて女は最後の女になりたい。タブーはそんなお前のいつだって2番目で構わない
・恋涙を主原料とした甘みの中に、危険なほど白い爽快感を身勝手に感じれる罪な味わい。目を開けろ。恋は盲目というがこのタブーはその視力を戻してくれる。さあ浮気のときだ
商品ラベルにポエムを付けたきっかけや、ポエムを片岡さんに依頼した理由について、夢麦酒太田の運営に関わる「ソニアプラン」(群馬県太田市)の担当者に聞きました。
Q.「クロア」の発売はいつですか。
担当者「2016年3月です。『どこにもない、革新的でどこにも属さないもの、そんなクラフトビールブランドを作ろう』と生まれました。ビール業界にないファッション感覚とセンス、人間の“性(さが)”や“タブー”を、味とデザインでストレートに表現していくことを考えています」
Q.ポエムを入れた経緯を教えてください。
担当者「太田から世界に発信できる、人々がワクワク、ドキドキするようなものを作ろうということで片岡さんにお願いしたところ、ポエムが入ったデザインになりました」
Q.なぜ片岡さんに依頼したのですか。
担当者「片岡さんには独自の世界観が常にあり、創作時、世間からヒントをもらうことも左右されることもありません。そんな世間にない創意の部分を片岡さんに出してもらえれば、新しい物が生まれると思い、お願いしました」
Q.それにしても独特の表現ですね。
担当者「片岡さんの創る世界は本当に個性的です。おにぎりを『セクシー』と呼び、パスタを『ラマン』(愛人)と呼ぶほどです。商品説明を片岡さんにお願いして返ってきたものが個性的すぎるので、『これで大丈夫ですか』と確認したことは何度かありました。しかし、彼の答えは『大丈夫です』。それ以上は怖くて聞けませんでした。最近になり、片岡さんはポエムに関して『あの時は病んでたのかな』と話していましたが…」
Q.これまでに何種類のポエムを掲載していますか。
担当者「6種類です。広告や販促品なども『えっ!』と思うようなキャッチコピーが多いです。『クロア』のメインキャッチコピーである『ビールくらい浮気しろよ』など、名言が残っています」
Q.SNS上でたびたび、ポエムの内容が拡散しています。売り上げにも影響はありましたか。
担当者「もちろんありました。手に取ってもらえる人が格段に増え、お客さまも何十倍にもなりました。遠方からわざわざ買いに来てくださる人も多いです」
Q.今後はどのような展開を。
担当者「もちろん、今後も片岡さんにお任せします。彼の頭の中は誰にも想像がつかないし、予測不能な人ですが、『常に進化』がブランドのテーマですから、私たち自身が進化していくこと、そして、それを自分たちが楽しむことを考えています。これからも、ぶっ飛ぶような商品や企画をどんどん展開していきます」
(報道チーム)
コメント