パルムドール受賞作「万引き家族」で親子役 リリー・フランキー&城桧吏がお互いを斬る!
このお父さんはクルクルパー
Q.雪だるまを作るシーンのカメラワークが面白かったです。
リリー「あれは台本にはなかったのですが、『明日雪が降る』と天気予報で聞いて、是枝さんが雪のシーンを撮りたいと追加で撮影しました。あそこで失敗したなと思っているのが、治が一人で外でタバコを吸っている時に『祥太、雪降ってるよ』と呼びかけるシーンがあって、そこで、灰皿を持っているんですよ。
でも、持っていない方がよかった。いつも外で吸っているように見えるのがよくないと。治ってどこでも吸っていそうだから。ああいう時に、もともとマナーの良いところが出ちゃうんだよな(笑)」
Q.リリーさんの出演作は何を見ましたか。
リリー「白い巨塔に出ている俺じゃない?」
城「テレビでやっていた『そして父になる』です」
リリー「俺は貧乏な方の家のお父さんだよ」
城「知っています」
リリー「俺と福山くんの見分けはできているんだ。是枝さんの中では、今回演じた治はあのお父さんのリメイクらしいです。でも、このお父さんとあのお父さんは、演じてみると別の父親でした。『そして父になる』のお父さんは包容力があるけれど、このお父さんはクルクルパーです。
覚えているのが、雨が降っているシーンで、夫婦は家にいる、子どもはセミ捕りに行って帰ってくる。その時、城くんがデリカシーのないナイスアドリブを言ったんですよ。安藤さんとの濡れ場直後で、俺たちが急いで服を着ているところに『何してたの』って」
城「あれは、是枝監督に何か言ってと指示されました」
リリー「デリカシーのないこと言うから、安藤さんが固まって動けなくなった。思春期の子どもの気づき感が出て、リアリティーがあるシーンになりました」
Q.お気に入りのシーンはどこですか。
城「魚釣りのシーンです。あとは道路から飛ぶところと最後のバス停です」
リリー「あの飛ぶシーンは下にマットがあったの?」
城「敷いてありました。マットの厚さがあったからそんなに高くなかったかな」
リリー「魚釣りのところは、ルアーや釣りについて祥太が治に説明する長いセリフがあるんですけど、直前に、そのルアーや釣りの説明的な長く難しいセリフを渡されて、どこか別のところで覚えたかのように俺に教えているみたいになってて、終わった後、是枝さんと『すごいね』と話していました。
俺のお気に入りのシーンは、家族そろっての家の中だったり、夫婦の濡れ場に子どもが入ってきたりするところですね。順番に撮っていると、祥太と二人のシーンで『もうこの映画終わっちゃう』という気持ちになって寂しかったです。最初の頃、祥太と商店街をうろうろしているところを覚えています。あのコロッケ売っているの『ふじや』だっけ?」
城「ふじやです」
リリー「あそこは肉屋で、コロッケは売っていないよね。あの映画を見た人が食べたいと思っても売っていない。子どもだから、撮影中もコロッケを食べたがるんですよ。だから『今これ一口食べて、是枝さんが撮り直しを言ったら何個も食べることになるんだぞ』と教えて。撮影終わってから食べていました」
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