お別れ言いたいのに…先生の異動発表、東京都は4月1日、なぜ?
公立の小中高校などの教員について、異動の発表は多くが3月末。4月1日のところもあります。なぜ、春休み前に発表できないのでしょうか。

子どもの頃、春のこの時期になると、いつもはテレビ欄と漫画しか見ない新聞を、目を皿のようにして見た記憶はないでしょうか。公立の小中高校などの教員について、一斉に異動が発表され、新聞各紙が特別紙面で報じるためです。「先生と児童や生徒が、お別れのあいさつをできるように」と春休み前に異動が分かる学校もあるようですが、多くは3月末。東京都の公立学校にいたっては、4月1日のようです。なぜ、春休み前に発表できないのでしょうか。東京都教育庁(都教育委員会事務局)人事部職員課の担当者に聞きました。
ギリギリまで差し替えも
Q.都内の公立学校の教員異動が発表される日を教えてください。どのような形で発表されるのでしょうか。
担当者「4月1日に、東京都教育委員会のホームページに掲載する予定です。東京新聞さんなど、教員の異動情報を例年掲載される新聞社にも、情報を提供しており、今年も掲載されるのであれば、4月1日以降に掲載されると思います」
Q.先生たちへの内示はいつごろなのでしょうか。引き継ぎ等の都合を考えると、遅くとも3月の上旬くらいには知らされているように思うのですが。
担当者「詳細な時期は公表していませんが、3月中には、本人に内示しています。大体3月の上旬が多いのですが、ぎりぎりまで変更される可能性もあり、3月中には本人に伝わるようにしています」
Q.引っ越しを伴うような異動の場合は、もっと早く内示しているケースもあるのでしょうか。
担当者「東京都では島しょ部の学校関係になりますが、その辺りは配慮して、少し早めに伝えています。その他(23区内と多摩地域)については、大体、自宅から通える範囲での異動にとどまっていると思います」
Q.なぜ、春休みに入る前に発表できないのでしょうか。その方が、子どもたちと先生とのお別れの場を持ちやすいと思うのですが。また、もっと早く発表している自治体もありますが、同様にはできないのでしょうか。
担当者「例年、年度末まで変更、異動内容の差し替えがあります。早めに公表すると、間違った情報を提供することになってしまう恐れがあり、今は4月1日公表にしています。
転校などで児童・生徒数の増減があると、学級の数が増減することがあります。教員が余ってしまったり、逆に足りなくなったり、いろいろな事情があり、直前まで差し替えがあり得るのです」
Q.内示後、発表解禁前に、早めに子どもたちに異動を伝える先生もいるのでしょうか。
担当者「基本的に本人への内示は3月中にしていますが、(児童・生徒へも含め)公表はしないことになっています。教員経験者に聞くと、先ほど話したように直前で変わる可能性もあるので、子どもたちに『異動するんだよ』と言った後に、異動がなくなる可能性も想定して、本人の中でとどめておくそうです」
Q.保護者や教員から「春休み前に異動を発表してほしい」「年度内に発表してほしい」といった声はないのでしょうか。
担当者「直接そうした要望を聞いたことはありませんが、報道ベースでは、そういった声があることは認識しています」
Q.4月1日発表という方針は、今後も変わりないのでしょうか。
担当者「先ほど述べたように、間違った情報を提供することはできませんので、現時点では変更の予定はありません」
ちなみに、千葉県などでは既に、教員の4月1日付異動が発表され、ホームページに掲載されています。
(オトナンサー編集部)
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