スポーツ庁推奨の通勤スタイル“スーツ+スニーカー”に賛否両論「ダサい」「TPOだろ」、マナー的には?
スポーツ庁が「スニーカー通勤」を推奨する、との報道をきっかけに「スーツ+スニーカー」の通勤スタイルについてSNS上で議論に。賛否両論が飛び交っていますが、マナー的には、アリでしょうか、ナシでしょうか。

スポーツ習慣の定着を通じた健康増進を目的とするスポーツ庁のプロジェクト「FAN+WALK PROJECT」の第1弾として「スニーカー通勤などの『歩きやすい服装での通勤』が推奨される」との報道をきっかけに、SNS上で先日「スーツ+スニーカー」の通勤スタイルについて意見が交わされました。このスタイルについて「ダサい」「ついでにスーツもやめてほしい」「革靴もハイヒールも特別な時だけでいいと思う」「スーツに合うスニーカーを作れば」「スニーカー通勤を全否定する気はないけど要はTPOだろ」など、さまざまな声が上がりましたが、「マナーのプロ」の見解はどのようなものでしょうか。
オトナンサー編集部では、「マナーは互いをプラスにするもの」をモットーに国内外の企業や大学などで人財育成教育やマナーコンサルティングを行うほか、NHK大河ドラマなどのドラマや映画で俳優や女優へのマナー指導を行い、日常生活における円滑な人間関係の構築などに関するマナー本が国内外で70冊以上(累計100万部超)のマナーコンサルタント・西出ひろ子さんに聞きました。
1980年代のNYで流行したスタイル
Q.「スーツ+スニーカー」の組み合わせについてどう思われますか。
西出さん「1980年代当時のニューヨークでは、女性が『スーツ+スニーカー』で出勤するのがデキる人のおしゃれなスタイルとして流行していました。当時、私もそれに憧れ真似していました。現代の日本で、スーツにスニーカーを合わせる人は少数派かもしれませんが、家から会社までの通勤にはスニーカーを履き、会社に到着したら革靴やパンプスに履き替えるというスタイルは、見方を変えるとスマートに思えます。たとえば、私は今でも職場やマナー研修などで企業に伺う際、移動中は歩きやすい靴を履き、到着前には必ずパンプスに履き替えるようにしています。これは、訪問先の床を汚さないという利点もありますし、自身の革靴やパンプスの汚れ、かかとのすり減りなども少なくなります。靴を持ち歩いたり履き替えたりするのは面倒なことではありますが、相手にとって失礼のないように、こちらがひと手間をかけることもマナーの一つと言えます。このように考えた時、マナーの視点から『スーツ+スニーカー』は、通勤時にはオーケーと言える範囲です」
Q.スニーカー通勤をする際に注意すべきことはありますか。
西出さん「まず『足元は見られるもの』という意識を持つことが不可欠です。汚れたスニーカーを履いたり、かかと部分を踏んづけて履いたりするのはNG。また、一般的なビジネスマナーとしては、お客様との面談時などの仕事中にスニーカーのままでいることは、基本的にNGと言えます。お客様の前に出る時は革靴に履き替えてください。今回のケースで大切なことは、今後このスタイルが徐々に浸透していく可能性を考慮し、自身の属している会社で自社の基準やルールを作ることです。『通勤中のスニーカーはよいが、職場では履き替える』『職場でもスニーカーのままでよいが、お客様との面談時には革靴に履き替える』など、スニーカーを履いてもよい範囲のルールを社内で共有しておけば、スニーカー通勤をスムーズに取り入れることができ、皆さんの迷いも軽減されると思います」
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