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どんな動画をサイト投稿すると法的責任を問われる? ドラマやゲーム実況も?

運営者側の対策は?

Q.著作権上、問題となりそうな動画が次々と投稿されていますが、投稿サイトの運営会社は何らかの対策を行っているのでしょうか。もし、運営会社がこうした現状を放置した場合、法的責任を問われる可能性はありますか。

牧野さん「プロバイダー責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限および発信者情報の開示に関する法律)では、投稿サイトの運営会社はプロバイダーに当たり、ネット上で著作権侵害の情報があることを知っている、または知ることができたにもかかわらず放置した場合、損害賠償の責任を負います。例えば、著作権侵害の通知をその権利者から受けた場合は『著作権侵害の情報があることを知った』ことになるため、当該の動画を削除するなど何らかの対応をしなければなりません」

Q.動画投稿サイトで動画を公開する際の注意点についてご教示ください。

牧野さん「個人がネット上で動画を公開する場合、原則として、オリジナル作成の動画である必要があります。もし、著作物を使って動画を作成する場合、事前に権利者に問い合わせ、許可を取るなど必要な手続きを行ってください。先ほども申し上げましたが、著作物を無断で公開すると、営利目的があったかどうかにかかわらず法的責任を問われるので注意してください」

Q.動画投稿サイトで著作権的に問題のある動画を公開した事例はありますか。

牧野さん「2011年の東日本大震災直後、歌手のレディー・ガガさんが来日し、テレビ番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)に出演しました。その際にガガさんの公式YouTubeアカウント『ladygagaofficial』がこの番組の動画をアップロードしたところ、動画に対して複数の著作権侵害の申し立てがあったとして動画が削除され、その後、ガガさんの公式アカウントも停止されたということがありました」

(オトナンサー編集部)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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