「毒キノコは派手、食用は地味」は誤り? 言い伝え、なぜ生まれた? 消費者庁に聞く
秋はキノコ類がおいしい季節ですが、「毒キノコ」による食中毒が多い時季でもあります。「毒キノコは派手な色、食用キノコは地味」という言い伝えについて取材しました。

秋はキノコ類が旬を迎える季節です。コロナ禍でも「3密」になりにくいレジャーとして、キノコ狩りを計画している人も多いのではないでしょうか。しかし、キノコ類を巡っては毎年、「毒キノコ」による食中毒が発生しており、先日も秋田県で、毒キノコを食用キノコと思って食べてしまい、食中毒を起こした事例が2件報告されました。
ところで、毒キノコ/食用キノコに関しては「毒キノコは派手な色、食用キノコは地味」「虫が食べているキノコは人間も食べられる」「茎が縦に裂けるキノコは食べられる」などの言い伝えがありますが、それらは間違いだそうです。消費者庁消費者安全課の担当者に聞きました。
派手な食用キノコも存在する
Q.「毒キノコは派手な色をしている」という言い伝えが誤りである理由を教えてください。
担当者「毒キノコの中には確かに『ベニテングタケ』のように派手な色のキノコもありますが、地味な色の毒キノコもあります。食中毒件数の多い毒キノコとしては『ツキヨタケ』『クサウラベニタケ』『テングタケ』などがあり、いずれも地味な色ですが、食べると嘔吐(おうと)や下痢、腹痛などの症状が現れます。テングタケは目まい、けいれんなどの症状も起きて、呼吸困難になる場合もあります。
ツキヨタケは食用キノコの『ヒラタケ』『ムキタケ』などと間違いやすく、クサウラベニタケは食用の『ハタケシメジ』『ウラベニホテイシメジ』と似ています」
Q.「虫が食べているキノコは食べられる」「茎が縦に裂けるキノコは食べられる」という言い伝えはどうでしょうか。
担当者「虫やナメクジは毒のある『ドクツルタケ』も平気で食べますが、人間が食べると危険です。また、毒キノコの中にも、茎が縦に裂けるキノコがあります。そのほか、『毒キノコはナスと一緒に煮ると毒が消える』という言い伝えも科学的根拠のない話です」
Q.一方で、派手な色なのに食べられるキノコもあるのでしょうか。
担当者「例えば、タマゴタケは真っ赤な色ですが食べられます」
Q.「毒キノコは派手な色をしている」という言い伝えは、なぜ生まれたのでしょうか。
担当者「派手な色で『毒毒しい』ものは目を引くと思うのですが、地域によっても生えるキノコに違いがあり、なぜそのような言い伝えが生まれたかは分かりません。ただ、私たちが強調しているのは、そうした誤った言い伝えに惑わされることなく、知らないキノコは絶対に『採らない』『食べない』『売らない』『人にあげない』ということを守っていただきたいということです。
毒キノコと食用キノコの写真は厚生労働省や消費者庁などのホームページで見ることができますが、それらの写真も一例であり、成長の過程で形が変わっていきます。生半可な知識で採取したり、食べたりするのは危険です。9月から11月は特に、毒キノコによる食中毒が多い時期です。十分に気を付け、もし食後に体の異常を感じたら、直ちに医療機関を受診しましょう」
(オトナンサー編集部)
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