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音楽に続いてお笑いも! なぜテレビ特番が“大型フェス化”しているのか

きょう9月26日、約8時間にわたる生放送のお笑い特番「お笑いの日」が放送されます。これまで、音楽番組ばかりだった“大型フェス化”がお笑いにも波及しているようです。

「お笑いの日」総合MCのダウンタウン(2017年3月、時事)
「お笑いの日」総合MCのダウンタウン(2017年3月、時事)

 9月26日午後2時から、約8時間にわたる生放送のお笑い特番「お笑いの日」(TBS系)が放送されます。同番組最大の特徴は「多くの芸人がネタを披露するお祭りムード」「ライブ感あふれる生放送」の2点。つまり、大型フェスのような特番として放送されるのです。

 これまで、大型フェス特番は8月26日に生放送された「2020 FNS歌謡祭 夏」(フジテレビ系)、9月12日に生放送された「THE MUSIC DAY 人はなぜ歌うのか?」(日本テレビ系)、9月30日に生放送予定の「テレ東音楽祭2020秋」(テレビ東京系)のような音楽特番ばかりでしたが、ここに来てお笑い特番に波及していることに気付かされます。

 今年は各局ともに2~3時間程度のお笑い特番を積極的に放送し、その傾向はコロナ禍でさらに加速しているだけに、今回の「お笑いの日」が成功したら、他局もお笑いの大型フェス化を図る可能性は高いでしょう。

 また、9月23日に「東大王vs全国の視聴者 生放送3時間SP」(TBS系)が生放送されたことからも分かるように、クイズ番組の大型フェス化を企画する動きもありそうです。その他でも日頃、各局を取材していると、トークやスポーツなど他ジャンルの番組に関しても、大型フェス化を期待する声がいくつか上がっていました。

 なぜ今、特番に“大型フェス化”の動きが生まれつつあるのでしょうか。

生放送のライブ感とフェスのお祭り感

 テレビ放送が営利事業である以上、番組編成の目的が視聴率獲得であることは間違いありません。例えば、通常の音楽番組はプライムタイム(午後7~11時)で放送しても世帯視聴率1桁台中盤にとどまりますが、大型フェス特番にすると数時間にわたって2桁台前半が獲得できます。

 大型フェス特番にすることで視聴率が上がるのは「生放送ならではのライブ感や大型フェスならではのお祭り感がある」から。普段、テレビを見ている人はもちろん、ネットコンテンツの優先順位が高い若年層の視聴も期待できるのです。今春に視聴率調査がリニューアルし、スポンサー受けのいい若年層の視聴を求める傾向が強くなったことも、大型フェス特番のニーズを高めていると言えるでしょう。

 近年、「スマホ片手にSNSを使いながら、みんなで盛り上がる」という習慣が定着しつつあり、実際に音楽の大型フェス特番がツイッターのトレンドワードランキングやYahoo!などの検索ランキングで上位を占めることが定番化しました。大型フェス特番はスタッフ、キャスト、視聴者の3者がそろって盛り上がれるコンテンツとなっているのです。

 報道・情報番組を除く、ほとんどが収録放送であるテレビはライブ感やお祭り感でネットコンテンツに負けていました。YouTube、インスタグラム、LINEなどの生配信をファン同士で楽しむ人が増える中、「テレビも生放送の大型フェス特番で対抗しよう」と思っているのです。

 もう一つ、大型フェス特番が視聴率を獲得できる理由を挙げると、「長いコンテンツを見せ続けられることはテレビの強み」だから。ネットコンテンツは基本的に数秒から数分の短時間勝負ですが、テレビ番組は30分から2時間程度が大半を占めています。

 テレビは「大きな画面で見続けやすい」というメリットに加えて、スタッフや出演者が、長時間放送を見てもらうための技術を持っていることもあり、大型フェス特番はそれを発揮する格好の機会なのです。

コロナ禍を吹き飛ばす明るいムードを

 そして、各局が放送する音楽フェス特番が、今回のお笑いフェス特番「お笑いの日」につながったもう一つの理由は「コロナ禍の中で明るいムードをもたらしたい」という作り手たちの思い。

「お笑いの日」は例年、この時期に放送されている生放送のお笑いコンテスト「キングオブコント」をベースに、今年3月にスタートして8月に早くも第2弾が放送された3時間特番「ザ・ベストワン」を加え、さらに、TBS自慢のお笑い特番「ザ・ドリームマッチ」などを組み合わせることで、大型フェス特番を実現させました。

「ウチでやれることはすべてやって笑ってもらおう」という全力で視聴者を楽しませようとする姿勢が見えるのです。新型コロナウイルスの感染予防対策に悩まされる中、あえてリスクの高い長時間の生放送に挑む目的はやはり、視聴率獲得だけではないのでしょう。そんな思いをTBSだけでなく各局のテレビマンが持っているからこそ、民放各局がお笑いフェス特番を企画し、さらには他のジャンルにも広がっていく可能性を感じるのです。

「長すぎる」「タイムテーブルが分かりにくい」「似たような構成や演出が多い」などの課題こそあるものの、現状ではライブ感やお祭り感の魅力が上回っているため、しばらくは音楽を中心に大型フェス特番は続いていくでしょう。音楽、お笑いに続く大型フェス特番の登場も遠くはなさそうです。

(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)

木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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