オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

テレビ番組で「としまえん」閉園バブル 作り手たちの愛情と寂しさがチラリ

8月いっぱいで94年の歴史に幕を閉じる「としまえん」。増えるテレビ番組の特集からは、テレビマンたちの愛情も感じられます。

「としまえん」の正門(2020年6月、時事)
「としまえん」の正門(2020年6月、時事)

 今、8月31日で94年の歴史に幕を閉じるレジャー施設「としまえん」をフィーチャーしたテレビ番組が増えています。

「めざましテレビ」(フジテレビ系)が「最後のとしまえんどう楽しむ?」というコーナーを放送したり、「Nスタ」(TBS系)が生中継で人々が楽しむ姿を映したりなど、多くの情報番組で特集が組まれているほか、バラエティー番組も「ここぞ」とばかりにフィーチャー。

 7月27日の「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)では、としまえんの栄枯盛衰を振り返るVTRを放送し、8月4日の「マツコの知らない世界」(TBS系)では、「さよなら…としまえんの世界」、8月10日~13日の「じゅん散歩」(テレビ朝日系)では、「今月で閉園!さよなら散歩」と題して連日紹介、26日の「有吉の壁」(日本テレビ系)では、「一般人の壁を越えろ!さよならとしまえんSP」、さらに「家、ついて行ってイイですか?」(テレビ東京系)では、としまえんにカメラを設置して、最後の夏を楽しむ人々の姿を何度か映していました。

 これ以外でも民放各局のさまざまな番組が別れを惜しむように、としまえんをピックアップするなど、まさに“閉園バブル”状態となっているのです。

デートからロケまで思い出がいっぱい

 としまえんをピックアップした各番組の内容に目を向けると、バラエティーに富んでいます。

 遊園地として乗り物を紹介するのはもちろん、世界最古のメリーゴーラウンドで機械遺産の「カルーセルエルドラド」、世界初の流れるプールとハイドロポリス、「日本一近い」と言われる週末の花火などをピックアップ。そこに笑顔いっぱいで楽しむ人々の姿を絡めることで、閉園してしまうとは思えない楽しげなムードを感じさせています。

 また、過去の映像や写真を使って長い歴史を振り返るVTRからはリスペクトが感じられますし、「実は豊島区ではなく、練馬区にあるんです」などの基本的なツッコミもありました。

 ホットなネタとしては、放送中のドラマ「MIU404」(TBS系)の主題歌である米津玄師さんの「感電」のミュージックビデオ撮影が行われたことを紹介。早くもファンたちの聖地となり、米津さんになり切って撮影する若者たちの姿を伝える番組もありました。

 中でも最も多かったのは、としまえんへの愛情を語り、閉園を惜しむ人々へのインタビュー。若い頃にデートしたときの話、以前訪れたときと同じ場所で写真を撮る人々、全アトラクションのコンプリートを目指す子ども、親子3代で訪れた大家族、すべてのグッズを買いそろえたマニアなど、閉園前ならではの熱気と寂しさが伝わってくるものばかりでした。

 そんな人々の愛情も、惜しむ気持ちも、寂しさも、すべてテレビマンたち自身が感じていること。だから、「閉園前にぜひ撮っておきたい」と企画を立てているのです。私が知る限り、民放各局のテレビマンたちの中にも「としまえんの思い出がある」「何度もロケでお世話になった」という人は多く、今年は彼らから何度も「寂しい」という声を聞いていました。もちろん、芸能人たちの中にも同じ気持ちの人はいるでしょう。

8月31日の最終日は情報番組ジャックか

 作り手も出演者も愛情たっぷりだからこそ、視聴者にもその気持ちが伝わり、前述した各番組の放送時はネット上に思い思いのエピソードが書き込まれていました。

 しかも、としまえんは2月に閉園が報じられた後、わずか数週間後に新型コロナウイルス感染拡大の影響で臨時休園。6月15日の再開後も入場制限を設けているため、間もなく閉園するにもかかわらず「行きたいのに行けない」と嘆く人が少なくないのです。テレビ番組での特集は、そんな人々の救いとなっているものでしょう。

 テレビマンや芸能人の中には「チケットが取れないからロケで来られてうれしかった」「仕事だけど最後に来られて企画したかいがあった」という人もいると聞きました。彼らに限らず、やはり、関東エリアの人々にとっては特別な場所だけに、来る8月31日の最終日は、ほぼすべての情報番組で特集が組まれ、盛り上がるでしょう。

(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)

木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

コメント