オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

蚊取り線香を入れる「蚊遣り豚」、そもそもなぜ「豚」なの? 調べると諸説あるようで…

「江戸時代の照明器具」説も

 次に、江戸時代の「蚊遣り豚」とみられる器を収蔵しているという「新宿歴史博物館」(東京都新宿区)の学芸員に聞きました。

Q.蚊遣り豚が見つかった遺跡について教えてください。

学芸員「『内藤町遺跡』といって、新宿御苑の北部にあたり、江戸時代の譜代大名だった内藤家の中屋敷跡です。1989年、道路整備に伴う発掘調査の中で、蚊遣り豚も見つかりました」

Q.徳利を横にしたような形の陶器ですが、なぜ、蚊遣り豚だと分かったのでしょうか。

学芸員「形から類推しました。江戸時代の川柳などに『蚊遣り豚』の語句があり、これではないかと類推しました」

Q.いつごろ作られたものでしょうか。

学芸員「はっきりしたことはいえませんが、江戸時代後期と考えられています。その時代にはまだ、蚊取り線香はなく、かやの枝やわら、ヨモギ、枯れ葉、おがくず、もみ殻、米ぬかなどを蚊遣り豚に入れ、いぶして使っていたと思われます」

Q.なぜ「豚」なのでしょうか。

学芸員「なぜ、豚なのかははっきりしていませんが、江戸時代に『瓦灯(がとう)』という、徳利を太くしたような形の照明器具があり、それを横にして、目と耳を付けると豚のようになったともいわれています」

 姿を見る機会が減ってしまった蚊遣り豚ですが、電子蚊取り器でも「豚」が活躍しています。アース製薬(東京都千代田区)経営戦略部の油野秀敏さんに聞きました。

Q.豚形のノーマットを発売した時期と経緯を教えてください。

油野さん「当初は白い豚の形で、1999年に発売しました。萬古焼きで巨大な蚊遣り豚を作るという話があり(先述の「日本一の蚊遣り豚」)、当社から巨大な蚊取り線香を提供し、それがきっかけになったと聞いています。ただ、現在は白ではなく、黒豚をイメージした『アースノーマット蚊とり黒ブタ』だけを販売しています」

Q.なぜ「黒豚」になったのですか。

油野さん「当初は白い豚の製品だけでしたが、会社の仲間と商品アイデアを話し合う中で、『豚は白以外もいるよね、そういえば、最近は黒豚もよく聞くよね』という話が出ました。当時は薩摩の黒豚が流行し始めた時期で、帰宅してすぐ、白豚のノーマットを黒のペンキで塗り直してみました。翌日、当時の開発責任者に見せたところ、即採用となって商品化につながり、ロングセラーとなりました。近年は年間約20万個出荷しています」

 なぜ「豚」かという疑問に対しての決定的な答えは得られませんでしたが、萬古焼きの水谷さんによると、由緒正しそうな印象があるためか、「火伏せの神」説をまず話して、ほかにも説があることを説明することが多いそうです。

 今年はコロナ禍で、換気の大切さが叫ばれています。火の元に注意しつつ、蚊遣り豚で蚊取り線香をくゆらせてみてはいかがでしょうか。

(オトナンサー編集部)

【写真】体長1.8メートルの「日本一の蚊遣り豚」など、さまざまな蚊遣り豚

画像ギャラリー

1 2

コメント