飲食店の「相席」を拒否することはできる? 弁護士さんに聞いてみた
混雑している飲食店などではよく、知らない客との「相席」を求められます。見ず知らずの人との食事は、できるだけ避けたいところですが、相席の要求を拒否しても問題ないのでしょうか。弁護士に聞きました。

多くの人で混雑する、平日のランチタイムや週末のディナータイムに飲食店へ行くと、スタッフから次のようにお願いされることがあります。
「申し訳ありませんが、混雑時は『相席』とさせていただきます」
お店によっては、相席を求める張り紙などをしているところも。しかし、見ず知らずの人との相席は、誰しも気が引けるもの。なるべくなら、しないで済ませたいのがホンネではないでしょうか。
オトナンサー編集部では、弁護士の牧野和夫さんに取材。飲食店において、相席の要求を拒否しても問題ないのかを聞きました。
個別に声をかけられたら「契約」成立
まず牧野さんによると、お店に相席に関する大きな表示があれば、「客はそれを承諾して入店しており、混雑時に相席を認める契約が成立している」と解釈することは不可能ではないそうです。ただし「表示だけで客がどこまで合意したと言えるかが問題になります」(牧野さん)。
しかしランチタイムなどの混雑時、お店のスタッフが客に個別に声をかけて「混雑時の相席の同意」を求めている場合は、相席を認める契約が確実に成立していると解釈できます。この時、客には、契約に基づく相席義務が発生しており、相席を拒否すればこの義務に違反することになります。
とはいえ、お店は客に退店を要求したところで、あくまで“任意”に応じてもらうことができるだけ。「客を無理やり店外へ引きずり出すなどして、強制的に退店させることはできません」。
それでは、相席義務に違反した客にペナルティーはないのかといえば、違います。
「客が合理的な理由なく相席を拒んだ場合、お店は相席分の売り上げを失うことになり、最悪の場合、客はお店から損害賠償請求をされるリスクがあります」
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