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飲食店の「相席」を拒否することはできる? 弁護士さんに聞いてみた

混雑している飲食店などではよく、知らない客との「相席」を求められます。見ず知らずの人との食事は、できるだけ避けたいところですが、相席の要求を拒否しても問題ないのでしょうか。弁護士に聞きました。

混雑時の飲食店でよくある相席

 多くの人で混雑する、平日のランチタイムや週末のディナータイムに飲食店へ行くと、スタッフから次のようにお願いされることがあります。

「申し訳ありませんが、混雑時は『相席』とさせていただきます」

 お店によっては、相席を求める張り紙などをしているところも。しかし、見ず知らずの人との相席は、誰しも気が引けるもの。なるべくなら、しないで済ませたいのがホンネではないでしょうか。

 オトナンサー編集部では、弁護士の牧野和夫さんに取材。飲食店において、相席の要求を拒否しても問題ないのかを聞きました。

個別に声をかけられたら「契約」成立

 まず牧野さんによると、お店に相席に関する大きな表示があれば、「客はそれを承諾して入店しており、混雑時に相席を認める契約が成立している」と解釈することは不可能ではないそうです。ただし「表示だけで客がどこまで合意したと言えるかが問題になります」(牧野さん)。

 しかしランチタイムなどの混雑時、お店のスタッフが客に個別に声をかけて「混雑時の相席の同意」を求めている場合は、相席を認める契約が確実に成立していると解釈できます。この時、客には、契約に基づく相席義務が発生しており、相席を拒否すればこの義務に違反することになります。

 とはいえ、お店は客に退店を要求したところで、あくまで“任意”に応じてもらうことができるだけ。「客を無理やり店外へ引きずり出すなどして、強制的に退店させることはできません」。

 それでは、相席義務に違反した客にペナルティーはないのかといえば、違います。

「客が合理的な理由なく相席を拒んだ場合、お店は相席分の売り上げを失うことになり、最悪の場合、客はお店から損害賠償請求をされるリスクがあります」

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。