オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

新型コロナは「犬」「猫」に感染する? 飼い主が感染したら?

新型コロナウイルスが、猫や犬にも感染したという報道が海外でありました。犬や猫への感染の可能性や対策について、獣医師に聞きました。

新型コロナウイルスが犬や猫にも感染?
新型コロナウイルスが犬や猫にも感染?

 世界的に流行中の新型コロナウイルスが、「猫にも感染した」という報道がベルギーでありました。香港では、犬に感染したという事例も報告されています。今のところ、犬や猫への感染事例は少ないようですが、人間の間で感染が急拡大しているだけに、不安に感じる飼い主も多いことでしょう。

 新型コロナウイルスの、犬、猫への感染の可能性や対策について、獣医師の増田国充さんに聞きました。

香港の2例はほぼ無症状

Q.犬の新型コロナウイルス感染事例について、症状や、どのように感染したと思われるのか、教えてください。

増田さん「新型コロナウイルスに関する状況はめまぐるしく変化していますので、3月末時点での情報に基づいてお話します。以降の回答も同様です。

これまで、犬から新型コロナウイルスが検出され、『低レベル感染』といわれる状態だったと報告されたのは、香港で発生した2例です。この2匹は、ほぼ無症状だったと報告されています。その後の追跡検査では陰性となりました。

感染経路について、OIE(国際獣疫事務局)は『人間から動物への感染例の可能性が高い』との見方を示しました。犬がこのウイルスに感染するとしたら、人から犬への感染と考えられるという可能性を示唆したわけです。3月末時点では、動物間、あるいは犬や猫から人への感染を示す報告はありません」

Q.猫の新型コロナウイルス感染事例について、症状や原因を教えてください。

増田さん「猫の新型コロナウイルスに関する情報は3月下旬に発表されました。ベルギーのゲント大学の発表や現地の報道によると、飼い主が新型コロナウイルスに感染、発症した1週間後に猫も体調不良を示し、症状として、下痢や嘔吐(おうと)、呼吸障害がみられたそうです。そして、ふん便からウイルスが検出されたと発表されています。

ただし、この症状が本当に新型コロナウイルスに由来したものなのか、あるいは猫固有の病気によるものかという点については触れられていません。ウイルスの検出方法についての詳細も記載されていません。猫の感染事例に関しても、3月末時点で本症例1つであり、他では発生が確認されていません」

Q.犬、猫とも日本での感染事例は報告がないようですが、実は気付いていないだけで感染が広がっている可能性はないのでしょうか。

増田さん「犬、猫いずれに関しても海外での報告であること、さらに、その件数が非常に少ないことから、詳細が明らかになっていない部分が非常に多いのが現状です。これまでの報告から判断されることとして、現段階ではヒトから動物に感染した可能性が高いと考えられており、動物間での感染や動物からヒトへ感染したということを示すものはありません。

全世界で多くの人が感染していながら、家庭で飼育されている犬や猫でそれに比例した発症報告がないことから、仮に感染があったとしても限定的であるという見方を専門機関はしています」

Q.犬や猫がどのような状態のとき、新型コロナなどの感染症を疑うべきでしょうか。その場合、どこに連絡あるいは相談すべきですか。

増田さん「犬ではほぼ無症状であること、猫の場合も症状から新型コロナウイルスに感染したとされる特徴的な症状に乏しい点から、その判断は現段階では難しいと考えられます。今後、国内で犬や猫の発症報告が出た場合、それを精査しながら、どのようなリスクがあるのかを検討していくことになるかもしれません。

新型コロナウイルス感染症については、まずヒトの感染症であるという点が最も重要であり、愛犬・愛猫のことが心配というお気持ちは十分にお察ししますが、まず、ヒトの医療体制を安定することを最優先にする必要があります。

飼い犬や飼い猫が、新型コロナウイルスに感染した人と濃厚接触があったことが確認され、かつ、その後体調不良が生じた場合はまず、かかりつけの動物病院に連絡をして、その指示を受けてください」

1 2

増田国充(ますだ・くにみつ)

獣医師

北里大学卒業。愛知、静岡県内で勤務後、2007年にますだ動物クリニックを開院。一般診療のほか、専門診療科として鍼灸や漢方をはじめとした東洋医療を行っている。国際中獣医学院日本校事務局長兼中国本校認定講師、中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員、日本ペット中医学研究会学術委員、AHIOアニマルハーブボール国際協会顧問、専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師。ますだ動物クリニック(http://www.masuda-ac.jp)。

コメント