飲食店は客の「スマホ撮影」を禁止できるのか
飲食店で注文した、おいしそうな料理をスマホで撮影し、SNSで友人とシェアする――。そうした行為が日常風景になっていますが、そもそも料理の撮影に法的な問題はないのでしょうか。また、お店側は法律を根拠に撮影を禁じることができるのでしょうか。
最近では当たり前の光景になりつつある、飲食店などの料理をスマートフォンで撮影し、自身のSNSなどにアップする行為――。
しかし、そもそもこうした行為に法的な問題はないのでしょうか。また、お店側は法律を根拠に、客の撮影行為を禁止することはできるのでしょうか。
オトナンサー編集部では、弁護士・弁理士の牧野和夫さんに聞きました。
料理に関する著作権は移転しないが…
まず牧野さんによると、お金を支払って買った料理の所有権は当然、客である自分に移転していますが、著作権などの知的財産権が自動的に移転するわけではないそう。「たとえば、絵画などの美術品を購入した場合に買い主は、あくまで絵画の所有権を取得するだけで、その著作権が移転するわけではありません」(牧野さん)。
つまり、料理に関して著作権などの知的財産権が発生する場合は、たとえ自分でお金を支払っていたとしても、その料理に認められる著作物を利用するのであれば、別途契約が必要になるといいます。
お店が著作権侵害を理由に、客の撮影行為を禁止できるかどうかは、その料理に著作物としての創作性が認められるかどうかがポイントになりますが、どこにでもある、ありきたりのアレンジが著作物として保護されるケースは少なく、仮に創作性が認められても、個人利用が目的であれば、著作権法30条の「私的使用目的の複製」にあたるため、撮影を禁止することはできません。
「以前問題となった、書店における撮影も著作権法で禁止することは難しいため、書店によっては『撮影禁止』の看板を掲示し、契約違反を根拠に対策を取りましたが効果はイマイチでした。効果的なのは、立ち読みできないように簡易ビニールなどでカバーする方法でしょう」(牧野さん)
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