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壁に目張り、フロアに死臭…歩き続ける「孤独死」の現場、見えてきた社会の闇

自身も2年間のひきこもり経験

 筆者は、このような孤独死が人ごとだとはとても思えませんでした。学生時代に2年間のひきこもりの過去があり、亡くなった人たちの「生きづらさ」「つまずき」に共感する部分があったからです。逆境にあるとき、誰もが強く生きられるわけではないのです。孤独死の清掃自体は夏場が圧倒的に多いですが、冬場もけっして孤独死がないわけではありません。臭いによって近隣住民に通報されづらく、遺体の発見が遅れるというだけにすぎません。

 これからの季節は、トイレや浴室などの寒暖差によるヒートショックで亡くなる人が増えてきます。浴室の死因として多いのは溺死です。入浴中に突然、脳梗塞や心筋梗塞などによって意識を失い、水中に沈み込んでしまいます。しかし、呼吸は機能しているので、水を飲んで溺れて亡くなってしまうのです。風呂の水の水位が高ければ高いほど危険性は高くなります。

 年間3万人(ニッセイ基礎研究所)といわれる孤独死ですが、国が調査をしていないため、実態は正確にはまだ分かっていません。しかし、孤独死が無視できない規模になっているのは確固たる事実です。英国では、2018年に「孤独担当大臣」が設置され、目覚ましい効果を挙げているといいます。わが国でも早急に調査し、何らかの対策を打つ時期にきているのではないでしょうか。

(ノンフィクションライター 菅野久美子)

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菅野久美子(かんの・くみこ)

ノンフィクションライター

1982年、宮崎県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。出版社の編集者を経て、2005年よりフリーライターに。単著に「大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました」(彩図社)、「孤独死大国」(双葉社)などがある。また「東洋経済オンライン」などのウェブ媒体で、孤独死や男女の性にまつわる記事を多数執筆中。最新刊は「超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる」(毎日新聞出版)。

コメント

1件のコメント

  1. アルファー幸徳有限会社(賃貸物件管理会社)の阿南と申します。
    これから更に増加すると考えられる孤独死を早期にキャッチできる管理システムを開発しようと考えております。単身入居者が水道水を利用した事を、水道の配管や個別メーターで情報としてキャッチして管理会社の送るシステムです。水道の利用がない場合に安否を確認するシステムです。良かったら、ご協力ください。