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増税で固くなった? 見たことのない「財布のひも」ってどんなもの? 歴史や由来とは

言葉だけが残った「財布のひも」

Q.「財布のひも」をほとんど見なくなったのに、今も言葉だけが生き残っているのはなぜでしょうか。

齊木さん「お金を入れて口をひもで締めたり、折り畳んだ外側をひもで巻いたりと、財布に『ひも』は欠かせないものでした。昔から欠かせなかった『ひも』を使って、『出し渋る』ことや『無駄遣い』など、あらゆる意味を比喩して表現したことから、古来の財布はなくなれど言葉だけが生き残ったのでしょう。

別の言葉の例ですが、『ひもとく』のように、そもそも『書物を読む』という、ただ『読む』の意味だけものだったものが『ものごとを解明する』意味に変化し、その対象も書物以外に幅広く変化した言葉もあります。伝統用法だけでなく、時代に合わせてさまざまな意味合いに転じたり、新たな言葉が生み出されても連続性を持ったりして、現代に息づく例は日本語の中に多くあります」

Q.キャッシュレス決済が普及し、スマホやカードで支払う機会が増えています。将来、ひもだけでなく、財布自体もなくなる可能性は考えられるでしょうか。

齊木さん「画期的な決済システムが整うのであれば、財布自体がなくなる可能性は考えられるとは思います。ただ、日本では『現金信仰』が強く、現金払いしかできずに困った経験がある人は全体の47%という調査もあります。つまり、半数以上の人は現金払いのみの店舗でも不自由なく買い物をしているのです。

現金主義でもさほど生活に困らないのであれば、あえて行動習慣を変えてまでキャッシュレスにするモチベーションは今のところ低いと考えます。また、キャッシュレス生活のために手元に現金がない人は、災害時に停電中のコンビニで日常品を買おうとしても購入できない可能性があります。昨年の北海道胆振東部地震では、実際にそうした事態が起きました。

キャッシュレスで、数字上でしか出入りが見えない買い物ではなく、現金を手に、本当に大切な物を目に見える形で手に入れることで、モノを大事に扱う精神が育まれる面もあると思います。そうした面を大切に残していきたいことからも、財布はなくなってほしくないと私は思いますし、なくならないと思います」

(オトナンサー編集部)

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齊木由香(さいき・ゆか)

日本礼法教授、和文化研究家、着付師

旧酒蔵家出身で、幼少期から「新年のあいさつ」などの年間行事で和装を着用し、着物に親しむ。大妻女子大学で着物を生地から製作するなど、日本文化における衣食住について研究。2002年に芸能プロダクションによる約4000人のオーディションを勝ち抜き、テレビドラマやCM、映画などに多数出演。ドラマで和装を着用した経験を生かし“魅せる着物”を提案する。保有資格は「民族衣装文化普及協会認定着物着付師範」「日本礼法教授」「食生活アドバイザー」「秘書検定1級」「英語検定2級」など。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yukasaiki)。

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