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ぶりっ子から憧れ女子へ! 田中みな実「逆転」の決め手は女優力

松田聖子と共通する“女子力”の高さ

 そんな芸能界の真理を大々的に示してみせたのが、かつての松田聖子さんです。デビュー当初は「ぶりっ子アイドル」と呼ばれ、男性ウケに比べ、女性ウケはいまいちでした。それが3年目に髪を短くして「赤いスイートピー」などのユーミンサウンドを歌い始めたことを機に、アンチだった女性たちがファンに変わります。その後は自由奔放な生き方も支持され、大スターとなっていきました。

 この現象について、作詞家の秋元康さんは、

「男の子の憧れから、女の子の憧れへ、ウマくスリかわった」

 と表現しています。田中さんも今、そんなメタモルフォーゼのさなかにいるのではないでしょうか。両者に共通するのは、女子力の高さです。二人とも、自分磨きに努力を惜しみません。

 例えば、田中さんはむくみ対策として1日3リットルの温水を飲むようにしているといいます。また、トーク番組「おかべろ」(関西テレビ・フジテレビ系)では痩せ過ぎ防止のため、1日2合の白米をノルマにしているとして「そしゃくも大変なので全部おかゆにして、ただただ泣きながら無心で流し込む」という発言で驚かせました。

 こんな女子力と女優力の相乗効果が、セクシーぶりで話題になった連続ドラマ「ルパンの娘」(フジテレビ系)の女泥棒ドロンジョ役につながったのです。ちなみに、長年維持している体重は38~40キロ(身長153センチ)だそう。体重を公開する女性有名人は珍しいですが実は彼女、「ぶりっ子」どころか「正直」な人でもあります。

 元カレの藤森慎吾さん(オリエンタルラジオ)とのことも、聞かれれば隠すことなく語ってきました。こうした「正直」キャラももっと広まると、好感度がさらに上がることでしょう。

 ところで、彼女の本業はもちろんアナウンサー。ちょっとクセが強い(?)番組でも沈着冷静に振る舞いつつ、ときには“おもちゃ”にもなれるのが強みです。先日もバラエティー「有吉ジャポン」(TBS系)で、「人の乳首の位置を当てられる」という女性ゲストの実験台になり、数秒の尺で完璧なリアクションを見せていました。

 ぶりっ子から憧れ女子へ――。彼女の逆転劇は、世の女性たちにとっても大いに参考になることでしょう。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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