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ぶりっ子から憧れ女子へ! 田中みな実「逆転」の決め手は女優力

女優としての活躍が目立つフリーアナウンサー、田中みな実さん。かつては、そのぶりっ子キャラから女性ウケはいまひとつでしたが、いまや評価が逆転しています。

田中みな実さん(2018年9月、時事通信フォト)
田中みな実さん(2018年9月、時事通信フォト)

 フリーアナウンサーとしてはもとより、最近は女優としても活躍中の田中みな実さん。10月スタートの連続ドラマ「モトカレマニア」(フジテレビ系)に出演することが先日、発表されました。ゴールデン・プライム帯の連ドラでは初のレギュラーです。

 プロデューサーによると、オファーの決め手は「幅広い女性から支持を受けている」こと。そこを生かして「“仕事”か“恋愛”かで揺れ動く、働く女性の代弁者になっていただきます」とのことです。

 が、ここで意外に感じた人もいるかもしれません。田中さんといえば、TBSの局アナ時代から「ぶりっ子」キャラで知られ、男性ウケがいい分、女性ウケはいまひとつでした。フリーになった直後の2014年に出演したバラエティー「しゃべくり007」(日本テレビ系)でも、「嫌いなアナウンサー」ランキングで上位の常連であることをいじられ、

「好きな方でも3位とかだったらバランスが取れるんですけど、好きな方に一回もランクインしなかったので」

 と自虐的に語っていたものです。そんな彼女が「幅広い女性から支持」され「働く女性の代弁者」を期待されるようになるとは…それこそ、あくまでお約束のギャグだったはずの「みんなのみな実」が現実のものになりそうな勢いです。

「絶対正義」「奪い愛、夏」と立て続けに出演

 これはどういうことなのか。実はこの「しゃべくり007」で、TBSの大先輩にあたる吉川美代子さんのこんな言葉が紹介されました。

「TBSアナウンス部時代は制作側の求める『いわゆる女子アナ』を演じている部分があったのではないでしょうか。今後は、もっと素直な自分らしさを出していってください」

 つまり、あのぶりっ子キャラは「演じている部分」だったというわけです。それが同性から嫌われるほどの「ハマリ役」になったのだから、彼女の「女優力」はかなりのもの。今年に入り、連続ドラマ「絶対正義」(東海テレビ・フジテレビ系)、「奪い愛、夏」(AbemaTV)と立て続けにレギュラー出演して注目されたのも、秘められた「女優としての適性」が開花したからでしょう。

 そんな彼女と同様、逆転劇を演じた人がいます。タレントの高橋真麻さんです。こちらもフジテレビの局アナ時代、「嫌いなアナウンサー」の常連でしたが歌唱力とぶっちゃけトークでイメチェンに成功、同性からの支持を獲得しました。

 不遇だった頃は、父・英樹さんに教えられた、こんな言葉に励まされたそうです。

「悪名は無名にまさる」

 何も知られていないよりは、悪口の一つも言われた方がいいという意味で、芸能界では、まさに金言でしょう。言い換えるなら「絶対値」の魅力です。プラスの値が大きいに越したことはないけれど、中途半端にプラスマイナスゼロでいるよりは、いっそマイナスの方が飛躍につながったりするのです。マイナスの値もまた、関心を持たれている証しなのですから。

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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