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「うちの猫も」「ちょっと心配」 猫が後ろ足で“直立”する行動、どんな意味がある?

後ろ足2本ですくっと立ち上がった猫の姿がネット上で話題に。この姿勢には、どのような意味があるのでしょうか。

直立する猫
直立する猫

 四足歩行の猫が後ろ足2本ですくっと立ち上がる――。「猫背」の概念を覆すような、“直立”した猫の姿が時折、ネット上で話題になることがあります。四足歩行の猫が2本足で立つ姿はかわいいものですが、この行動を不思議に思う飼い主も多いのではないでしょうか。

 ネット上では、「うちの猫も最近よく立ち上がります」「かわいいけどちょっと心配」「骨は大丈夫なの?」など、さまざまな声が上がっています。猫が見せる不思議な直立の意味について、獣医師の増田国充さんに聞きました。

後ろ足で立つ理由には諸説あり

Q.猫が後ろ足2本で立つことには、どのような意味があるのでしょうか。

増田さん「本来の猫の姿勢は四足歩行です。健康な猫であれば、後肢(こうし)、つまり、後ろ足の2足で体を支え、上半身を上に持ち上げる姿勢をすること自体は可能です。なぜ、2本足で起立しようとするかは諸説あり、はっきり解明されていない部分が多いのですが、周囲を警戒しているとき、または周囲に何か興味・関心を引くものがあるときに起立する、という説が有力とされています。

ちなみに、2足で起立する動物として『ミーアキャット』がいますが、彼らは猫科ではありません」

Q.後ろ2本足で立つことの多い猫の特徴を教えてください。

増田さん「健康でそれなりに体力があり、さらに、好奇心旺盛な猫が起立しやすいのかなと思います。個人的見解ですが、猫の品種による差はあまりないのではないでしょうか。それよりも、個体ごとの性格や活動性が、起立をするかしないかの差につながっていると思われます」

Q.猫が立ったとき、病気や骨・筋肉の異常などは考えられないのでしょうか。

増田さん「2本足で立つこと自体で、病的な問題が生じているとは考えにくいと思います。逆に、筋肉や関節に異常があると、2足で起立することが困難になることが予想されます。意外に思われるかもしれませんが、猫は高齢になると、関節炎などの整形外科関連の問題が多く発生します。これまでできていた2足での起立がしづらくなったら要注意です」

Q.立っている様子がおかしい場合、飼い主はどのように対処すべきでしょうか。

増田さん「普段から起立する猫の場合、起立のバランスが取れないようなときや、体を持ち上げた時に痛そうな鳴き声を上げたり、起立姿勢から普段の4足の姿勢に戻ったときに歩き方に異常が見られたりしたら、腰や後肢に何か問題があるかもしれません。このような様子が見られたときは、飼い主が起立を促すような刺激を与えたり、過剰な運動をさせたりすることは控えるべきでしょう。足腰の問題である場合は、早期に治療が必要となることがあります」

Q.日頃から立つことの多い猫について、注意すべきポイントはありますか。

増田さん「健康体だからこそ立つことができるのですが、後ろ足で自身の体重をすべて支えることになるので、体重が増加すればそれだけ下半身に負担がかかります。起立の姿勢以外でも、歩き方や跳び方などに変化がないか、また、日常的に行う毛づくろいの様子や食欲、排せつの具合などをよく観察し、『異常かな』と思ったときは早めにかかりつけの獣医師に診てもらいましょう」

(オトナンサー編集部)

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増田国充(ますだ・くにみつ)

獣医師

北里大学卒業。愛知、静岡県内で勤務後、2007年にますだ動物クリニックを開院。一般診療のほか、専門診療科として鍼灸や漢方をはじめとした東洋医療を行っている。国際中獣医学院日本校事務局長兼中国本校認定講師、中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員、日本ペット中医学研究会学術委員、AHIOアニマルハーブボール国際協会顧問、専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師。ますだ動物クリニック(http://www.masuda-ac.jp)。

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