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非難殺到! おでんツンツン男はなぜ“器物損壊”の疑いをかけられるのか

コンビニのおでんを指でつついた男性が器物損壊などの容疑で逮捕された事件。男がその様子をSNSにアップしたことから、ネット上にはこれを非難する声が数多く見られます。しかし、おでんをつつく行為はなぜ「器物損壊」にあたるのでしょうか。

おでんは食べるものであって“ツンツン”するものではない

 愛知県常滑市内のコンビニエンスストアで、商品のおでんを指でつつくなどした28歳の男性が威力業務妨害と器物損壊の容疑で逮捕された事件――。

 これを受けて、ネット上には「おでんツンツン男」として男性を非難する、多数の書き込みが見られます。第三者が食べる可能性のある商品を指でつつく行為は確かに、人間としての何らかの要素が欠落しているようにも思われます。

 しかし、おでんをつつく行為が「器物損壊」と言われると、少し違和感がありませんか。それは「損壊」という言葉が持つ響きやイメージと、おでんを指でつつく行為の間に、ある種のギャップを感じるからでしょう。

 オトナンサー編集部では今回、おでんを“ツンツン”することがなぜ器物損壊にあたるのか弁護士の長家広明さんに取材しました。

「全部食べられない」から器物損壊罪になる

 まず長家さんは「普通の感覚の持ち主であれば、おでんのおつゆに他人が指を突っ込んでいるのを見たら『中に入っている具はもう食べたくない』と思いますよね。したがって、器物損壊罪が成立するのです」と話します。

 たとえば、売られているトマトやリンゴを不特定多数の人が手に取っているのを見ても「もう食べたくない」とは思わないことから、それらの行為は同罪としては成立しないそう。「もちろん野菜や果物には洗って食べるという前提もありますが、普通は『もう食べたくない』とは思いません」。

 つまり、今回の事件の本質は「指がどのくらいおつゆに入ったら第三者が『もう食べたくない』と思うか」。長家さんは「人さし指だけ入れたとしても、おでんが全部食べられなくなったとは誰も思いません。今回の事件は、男性が『指を派手にざぶさぶ入れてしまったから』、これではもう全部食べられないということで、器物損壊罪が成立します」と指摘します。

 決め手は“心理的要素”です。

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長家広明(ながや・ひろあき)

弁護士

1963年兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1997年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2004年インテグラル法律事務所設立。インテグラル法律事務所パートナー弁護士。NPO法人「遺言・相続リーガルネットワーク」事務局長、板橋区役所法律相談員、板橋区感染症診査協議会委員。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、日経ビジネスコラム執筆などメディア出演多数。一般人にも分かりやすい例を用いて、法律をユーモラスに知ってもらいたいと考えている。http://nagaya4.wixsite.com/integral

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