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「イタコ芸」利用ビジネスは詐欺罪にあたらないのか

「消えゆく『死者との交信』――青森のイタコを訪ねて」という記事が昨年、話題になりました。しかし、この“交信”が霊感商法などに結びついた場合、法的にはどのような問題が生じうるのでしょうか。弁護士に取材しました。

霊感商法は法的にどう扱われるのか(写真は本文とは関係ありません)

 会社員を長くやっていると、ビジネス上で立ちはだかる困難の連続に疲れ、思わず何かにすがりつきたくなる気持ちになることもあります。それは愛する人との別れにも言えること。大手ニュースサイトが昨年12月、「消えゆく『死者との交信』――青森のイタコを訪ねて」と題した記事を配信し、大きな反響を呼んだことは記憶に新しいでしょう。

 これを読んだ記者は、その深く重層的な内容に感動すると同時に、もしこの「交信」が演技であり、さらには「霊感商法」などに結びついた場合、詐欺罪などに問われないのか疑問を抱きました。

 オトナンサー編集部では今回、「イタコ芸」という造語を独自に作成し、それが法的にどう扱われるのかを弁護士の長家広明さんに聞きました。

財産的な被害の有無が決め手

 長家さんは霊感商法について、「どこまでが許されて、どこからが許されないのかは、かなり難しい問題」と話します。

 議論の前提として、仮に人をだましても、結果として金品をだまし取ったのでなければ、詐欺罪は成立しないという背景があるようです。「法律が犯罪として規定する詐欺罪は、あくまでも財産的な犯罪なのです」。

 確かに、だまされただけでは、財産的な被害を受けたわけではありません。「精神的な苦痛を受けたことについて、民事上で慰謝料を請求できる場合もありますが、少なくとも、詐欺罪は成立しないのです」。イタコ芸も同様のようです。

 長家さんは「人それぞれの考え方がある」と前置きしつつ、このように説明します。

「霊魂がこの世に存在するのか、霊魂が降りてきて話をすることが本当にあるのか、この点について『分からない』ということが、一般的で『健全な社会常識』だということで、皆さん一致しているのではないでしょうか」

 このように考えた場合、イタコ芸がただちに「だます」ことに当たるかといえば、必ずしもそうは言い切れないのです。

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長家広明(ながや・ひろあき)

弁護士

1963年兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1997年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2004年インテグラル法律事務所設立。インテグラル法律事務所パートナー弁護士。NPO法人「遺言・相続リーガルネットワーク」事務局長、板橋区役所法律相談員、板橋区感染症診査協議会委員。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、日経ビジネスコラム執筆などメディア出演多数。一般人にも分かりやすい例を用いて、法律をユーモラスに知ってもらいたいと考えている。http://nagaya4.wixsite.com/integral