宇多田ヒカルさん「無料で使って…」 音楽教室は著作権料を支払う必要があるのか
日本音楽著作権協会が音楽教室における演奏について、著作権使用料の徴収を始める方針です。これに対して賛否両論が巻き起こっていますが、法的に見て、この主張に正当性はあるのでしょうか。弁護士に取材しました。
日本音楽著作権協会(JASRAC)が、音楽教室での演奏に対して2018年1月から、著作権使用料の徴収を始める方針であることが報じられ、賛否それぞれの声が上がっています。業界団体などはこれに反発、また歌手の宇多田ヒカルさんが自身のツイッターで、「私の曲は無料で使ってほしい」と発信して大きな話題となりました。
そこでオトナンサー編集部では今回、JASRACの主張に正当性はあるのかなどについて、アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞きました。
今回のポイント「演奏権」とは
まず今回、問題になっているとされる「演奏権」ですが、岩沙さんによると「演奏とは音楽を演じることを意味し、演奏権は、『公衆』に直接聞かせることを目的として音楽を演奏する権利です(著作権法22条)」。
JASRACが、音楽教室における演奏について、この演奏権を主張できるかどうかが今回のポイントになっています。
岩沙さんによると、演奏して音楽を聞かせる公衆には「不特定または多数人」のほかに「特定かつ多数人」も含まれます(同法2条5項)。音楽教室では通常、受講生が特定されており、かつ、教室の規模によっては受講生が多数いるため、「教える曲を演奏して受講者に聞かせることは、公衆に直接聞かせることを目的として音楽を演奏する行為に当たります」。社交ダンス教室での音楽使用を「公衆に対するもの」とした判例もあり、JASRACは今回、使用料を請求できると考えられます。
ちなみにコンサートや楽器発表会、マーチングバンドなどのイベントにおいて、JASRACが定める講演1回ごとの使用料は、以下「1」「2」のいずれか低い方となります。
1.入場料×定員数×80%×使用料率5%で計算された額
2.入場料×定員数×80%×使用料率0.5%×曲数(演奏時間が5分を超えるごとに1曲と換算される)で計算された額
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