採用面接の「最後に何か質問は」、何を聞いたらいい? 待遇面を尋ねると悪印象?
採用面接時、「最後に、何か質問はありますか」と逆質問をされることがあります。どのように答えるのがよいのでしょうか。

「最後に、何か質問はありますか」。採用面接の最後に面接官からこのように聞かれ、どう答えてよいか悩んだ経験のある人も多いと思います。企業からの“逆質問”は採用面接で定番化していますが、ネット上では「いつもうまく答えられない」「とっさにおかしな質問をしてしまって後悔した」「『良い質問だな』と思われたいけど難しい」など、さまざまな体験談が寄せられています。
「最後に質問」の意図や狙い、上手に生かすためのポイントについて、キャリアコンサルタントの小野勝弘さんに聞きました。
求職者の興味を見る企業も
Q.そもそも、なぜ企業は採用面接で「最後に質問はありますか」と尋ねるのですか。
小野さん「最後に質問の有無を問うことの意図や狙いとしては、次の4パターンが考えられます」
【純粋な好意】
良い質問を求めているのではなく、「疑問点がないかどうか」を本当に聞いているケースです。ある中小企業の採用では、「好意で聞いている」という話を聞いたことがあります。「少しでも不安なく入社してほしい」という思いがあるからだそうです。
【面接での対応についての疑問を聞くため】
面談では、ニュアンスの違いなど、話し手と受け手の間で異なった解釈が発生してしまう場合があります。それをお互いに修正する機会として、質問の時間を設けていると考えられます。
【“質問”の名を借りた面接評価項目】
例えば、コミュニケーション力を重視している会社が「今までの関わりの中で、どれくらい相手の話に興味を持って聞いていたか」を試すため、最後に質問を投げるケースがあります。
【うそを見破るため】
「面接を受けに来る人は、多数の併願をしているものだ」と、面接する側も分かっています。「第1志望」と言っていたのに、逆質問をしてみたら用意できておらず、しどろもどろになってしまい、本当に第1志望なのか疑わしくなったという話も聞きます。もちろん、全ての企業に当てはまるわけではありませんし、その質問がどの程度影響するかも企業によって違います。
Q.企業側にとって「最後に質問」はどのようなメリットがありますか。
小野さん「3つのメリットが考えられます。1つ目は『求職者のギャップの解消』です。例えば、社風が合わずに退職するケースが多い場合、少しでも疑問を解消することで、社風にマッチした人に働いてもらいやすくなると考えられます。
2つ目は『コミュニケーション力の確認』です。スキルは資格や成果で判断できる場合もありますが、コミュニケーション力は会話をしないと分かりません。中途採用であれば、『仕事上のコミュニケーションは必須である』という理解は進んでいるはずですから、当然見られているでしょう。
3つ目は『企業への興味・熱意をはかること』です。質問には“質”があります。求職者がどのような質の質問を投げてくるかによって、企業に対する本気度をはかっている場合があるのです。
もちろん、これら全てが独立した話ではありませんが『企業側は何らかのメリットを考えて質問している』という意識は忘れないでおきたいものです」
Q.一般的に、企業は「最後に質問」をどのくらい重視しているのでしょうか。
小野さん「採用への影響は企業によって違いますし、採用段階によることもあるため、一概にどの程度とは言えません。ただ、全く意味のない質問を投げるとも考えにくいので、多いか少ないかは分からないものの『影響はある』と言えるでしょう。
例えば、逆質問の採用への影響度が低いケースの場合、『面接のルールとして最後に聞く決まりにしている』企業もあるようです。『面接官によって聞く内容に差が出る』『最後の質問の有無で公平性や透明性が担保されなくなる』ことに配慮する中で、全員に対して最後はその質問を投げる、ということです。もちろん、良い質問であれば評価が付く場合もあるでしょうが、評価そのものに対する影響は小さいと言えます。
一方で、逆質問が大きな意味を持つ例もあります。私の知る中小企業では、社長面接での逆質問が非常に重要な要素を占めていると聞いたことがあります。長い間一緒に働いていける人を望むため、『本当にこの会社で働きたいのか』を最も真剣に見ており、『逆質問で、どんどん会社のことを聞いてもらいたい』ということでした。逆質問による受け答えの中で、一緒に働いていけそうかどうかを社長自らが確認し、合否を判断するそうです」
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