オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

【東日本大震災8年】火災やテロも想定、全国に広がる「避難訓練コンサート」とは?

非日常性や好奇心から参加

 全国公立文化施設協会の加盟施設の中で、東日本大震災後に初めて「避難訓練コンサート」を実施したのは、水戸芸術館(水戸市)です。企画した同館学芸員の篠田大基(ひろき)さんに聞きました。

Q.なぜ「避難訓練コンサート」を開催したのですか。

篠田さん「東日本大震災で水戸芸術館も被災し、2011年7月ごろまで休館せざるを得ませんでした。なんとか再開館したのですが、建物に被害を受けたことで以前のように来館してもらえるか不安がありました。そこで、防災への取り組みをしっかり行っていることをアピールし、安心して来館してもらうために『避難訓練コンサート』を行うことにしました」

Q.いつ、開催したのですか。

篠田さん「東日本大震災から5カ月ほど過ぎた、2011年8月27日です。震災時に近い『震度6強』の地震が発生し、停電で非常照明に切り替わるという想定です。演奏は地元の音楽家にお願いし、観客約430人が参加しました」

Q.2011年8月以降は。

篠田さん「2回目の『避難訓練コンサート』は、2015年3月8日に行いました。1回目の大地震の想定とは異なり、中規模の地震(震度4~5程度)が起きたとき、避難してもらうかどうかのシュミレーションを行うためです。1回目を上回る約560人が参加しました」

Q.観客はどのような意識で参加するのですか。

篠田さん「防災意識の高さから参加している人もいるでしょうが、通常のコンサートとは異なる『非日常』を味わえることや、『避難訓練コンサートって面白そう』という好奇心から参加している人もいるのではないでしょうか」

Q.文化施設の職員が実地訓練を行う意味も大きいのですね。

篠田さん「職員だけで観客の避難誘導訓練を実施しても気付けないことが明らかになるのが大きいです。例えば、職員が訓練で『速やかに避難してください』と言ったとき、観客から『どこへ?』と言われました。自分たちは分かっているつもりでも、観客とのギャップがある点に気付きました」

 最近の「避難訓練コンサート」は、地震発生を想定したものだけではありません。火災やテロなど、さまざまなバリエーションで行われています。また、落語を聞く寄席と避難訓練を組み合わせた「避難訓練寄席」や、映画上映と組み合わせた「避難訓練上映会」なども行われています。

 共通するのは、イベントをメインにして避難訓練を『脇役』として行い、防災知識を身に付けてもらうところ。避難訓練だけでは、なかなか参加しづらい人もいますが、イベントを絡めることでハードルが下がります。全国各地で実施されており、入場無料の場合が多いということなので、一度調べてみてはいかがでしょうか。

(オトナンサー編集部)

1 2 3

コメント