ブーム続く「冬アイス」、新商品や限定パッケージなど各社の取り組みは?
暖房の効いた部屋で食べる「冬アイス」は、伸びしろのある市場としてメーカー各社が力を入れています。

春を思わせる陽気の日も増えてきましたが、まだまだ、こたつやストーブが活躍中の家庭も多いことと思います。この時期にうれしいのが、暖房の効いた部屋で食べる「冬アイス」。伸びしろのある市場として、今冬もメーカー各社が新製品や期間限定パッケージを投入するなど力を入れています。各社の取り組みを取材しました。
氷系アイスを「切り札」に
冬アイスといえば、「乳脂肪分が多く、濃厚な味のアイスクリームが人気」というイメージがありますが、「冬アイス市場の切り札」として氷系アイスの販売を強化するメーカーがあります。
氷菓カップ「蜜と雪」(税別160円)を昨年発売した森永乳業(東京都港区)です。「蜜と雪」は、昨年生産を終了したロングセラーかき氷「100円みぞれ」に代わる商品として、昨年6月発売。味は「抹茶」「いちご」「レアチーズ」の3種類で、30~50代の女性が主なターゲットの通年販売商品です。
マーケティング開発部でアシスタントマネージャーを務める尾田京子さんに聞きました。
Q.夏場と比較して冬のアイスの売れ行きはどうですか。
尾田さん「売り上げ自体は夏の方が多いのですが、伸び率は冬の方が高いです。2017年度の夏(6~8月)の売り上げが2012年度比で8%増の約148億円だったのに対し、同年度の冬(11~2月)は24%増の約81億円でした」
Q.冬はどのようなアイスが好まれますか。
尾田さん「当社が行った冬アイスに関するアンケートによると、『食感が滑らか』『味が濃厚(コクが深い)』『ぜいたく感を得られる』といったアイスの需要が高まります。当社の商品では『ピノ』『PARM(パルム)』『MOW(モウ)』などはこの需要を満たしており、冬でもご購入いただいております」
Q.なぜ、氷系アイスの「蜜と雪」の販売を強化しているのですか。
尾田さん「確かに、冬は濃厚系アイスの需要がありますが、お風呂上がりや鍋のシメなど、冬でもさっぱりとしたい場面で濃厚系以外のニーズがあると考えています。『蜜と雪』は『濃厚なのに後口さっぱり』の新感覚を楽しんでいただけます。氷を細かく砕いて空気を多く含ませ、滑らかな食感にこだわった微細氷の食感は、リフレッシュ要素としてのニーズにも応えていると思います」
Q.どのような声が寄せられていますか。
尾田さん「『冷たいケーキを食べているような新感覚』『高級感のある大人の味わい』などのご意見を頂きました。購入してくださる人の30~40%が20~40代の女性で、パッケージ買いする人や、デザイン、新感覚を評価してSNS上で拡散してくださる人も多いです。当初の狙い通り、氷菓市場に新たなお客さまを呼び込むことができたと自負しています」
Q.ちなみに「100円みぞれ」の販売を終了した理由は。
尾田さん「2000年を最後に、売り上げが右肩下がりで落ち込んだためです。購入者の40%が60代以上となり、新しい層の獲得が課題になっていました」
Q.冬アイスブームは今後も続くとみていますか。
尾田さん「『冬アイス』という意識より、アイス自体が季節に関係なく、オールシーズンで楽しめるものになったことで、スイーツやデザートと並ぶカテゴリーの一つとしてまだまだ伸びしろがあると思います」
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