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不適切動画を追い風にする「グッディ」、安藤優子&三田友梨佳の“正論と断罪”に活路

情報番組で「バイトテロ」「客テロ」など不適切動画問題の扱いが大きくなっています。なぜ、不適切動画がフィーチャーされるのでしょうか。

各局情報番組が不適切動画問題にフィーチャー
各局情報番組が不適切動画問題にフィーチャー

 飲食店やコンビニでの「バイトテロ」「客テロ」などの不適切動画が次々に発覚し、止まる気配がありません。ネットニュースやSNSだけでなく、連日朝から夕方まで、各局の情報番組で報じられています。

 気になるのは、不適切動画の扱いが、政治経済、刑事事件、天災などの大きなニュースよりも大きいこと。つまり、情報番組の制作サイドが、「不適切動画に飛びついている」、さらに言えば「積極的に探している」と業界内で話題になっているのです。

 なぜ、情報番組は、ここまで不適切動画をフィーチャーしているのでしょうか。

マーケティングの裏付けと処罰感情

 最大の理由は、不適切動画がテーマとしてキャッチーであり、マーケティングの裏付けもあるから。

 不適切動画の多くは、飲食店やコンビニなどの身近な場所が舞台であり、そこに登場するのは一般人ばかり。「身近な人が過激な行為を行う」姿は、それだけで視聴者の感情を大きく揺さぶるものがあります。

 また、マーケティングの観点では、ネットで反響を集めている不適切動画は、「人々の反応がいい」という意味で申し分のないテーマ。「テレビで取り上げたとしても、同じように反響も大きくなりやすい」とみなされているのです。

 さらに見逃せないのは、近年多くの人々に根づいた正義感と処罰感情。ネットの普及で、日頃膨大な情報に接し、SNSなどで自ら発信する機会が増えたことで、自分とは直接的な利害関係にないものに対しても、「けしからん」「厳罰を!」と声を上げる習慣が一般化しました。

 情報番組の制作サイドが注目しているのは、「モラルへの意識が高まっている」というより、「悪をたたくことで痛快感を味わいたい」という視聴者の感覚。事実、情報番組のMCやコメンテーターたちは、不適切動画に関わった人々を強い言葉で糾弾し、視聴者の支持を得ようとしています。

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間30本前後のコラムを寄稿するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアー、人間関係のコンサルタントとしても活動中。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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