【元刑事が警告】バレンタインは「ロマンス詐欺」増…真面目な人ほど被害 加害者が口にする4つの“要注意ワード”
なぜ「普通の大人」が被害に遭うのか
ロマンス詐欺の被害者について、「孤独な人」「判断力が低下した人」というイメージを持つのは正確ではありません。実際には、社会的な役割を持ち、仕事や家庭で責任を果たしてきた真面目な大人ほど、被害に遭いやすい側面があります。
日常生活の中で、多くの人は「弱さ」や「不安」を簡単に外に出せません。誰かに理解してもらうこと、肯定してもらうことは、年齢を重ねるほど難しくなります。ロマンス詐欺の加害者は、丁寧に相手の話を聞き、価値観を肯定し、「あなたは特別だ」と伝える存在を演出します。その結果として生まれるのは、恋愛感情というよりも、「この人は自分を理解してくれる」という安心感なのです。
バレンタイデーを起点に「ロマンス詐欺」の被害は秋に向けさらに増加
警察庁の月別データを見ると、SNS型ロマンス詐欺は、2月から件数、被害額ともに増加傾向に転じ、その後、秋にかけて高い水準で推移しています。2月は、年間で最も被害が多い月ではありませんが、流れが変わる月です。
バレンタインデーというイベントは、感情表現や贈り物、特別な支出を正当化しやすい環境をつくります。「この時期だから」「特別な日だから」という理由は、金銭のやり取りに対する心理的なハードルを下げます。犯人側は、この空気を熟知しています。ロマンス詐欺は、季節性を意識して仕掛けられる計画的な犯罪でもあるのです。
被害はどのように拡大していくのか
ロマンス詐欺では、最初から金銭の話が出ることはほとんどありません。共通の話題、日常のやり取り、価値観の共有といった、時間をかけた関係構築が先にあります。その後、徐々に将来の話や資産の話が混ざり始めます。
投資、暗号資産、海外での仕事、手数料や一時的な立て替え。これらは単独で見れば不自然に思えても、関係性が出来上がった後では受け入れられやすくなります。重要なのは、ここで感情と金銭が同時に動く点です。この瞬間に、詐欺は完成形に近づきます。
金銭の話が出た時は立ち止まって確認する
ロマンス詐欺への対策として、「知らない人を信じるな」「すぐに疑え」といった言葉がよく使われます。しかし、SNSは人とつながるための道具であり、最初から疑うことを前提にしたコミュニケーションは現実的ではありません。必要なのは、「疑うこと」ではなく、「確認すること」です。
特に、恋愛や親密な関係の話をしているにもかかわらず、金銭の話が具体化した瞬間には、一度立ち止まる必要があります。相手から「投資」「暗号資産」「海外送金」「手数料」という言葉が出てきた時点で、その話は恋愛ではなく、資金移動の話に変わっています。
ロマンスが悪いわけではない
誤解してはならないのは「恋愛や人を思う気持ちそのものが危険なのではない」という点です。問題なのは、感情が商品化され、金銭と結びついた瞬間に、犯罪が入り込む余地が生まれることです。
ロマンス詐欺は、誰かの弱さを嘲笑する犯罪ではありません。むしろ、人が人を信じようとする自然な感情を、最も効率よく利用する犯罪です。ロマンスが強調される2月だからこそ、「感情に値札が付いた瞬間」を見逃さないことが、最大の防御になるのです。
(治安戦略アナリスト・危機管理スペシャリスト 小比類巻文隆)






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