【大麻】「合法と書いてあった」のに逮捕? 話題の「CBD」と「THC」の違い…「知らなかった」では済まされないリスクを元刑事が語る
大麻・麻薬関連の報道でよく目にするようになった「CBD」や「THC」。その違いを正しく理解していますか?大麻の基本知識と法的リスクを、数多くの薬物事件を担当してきた元刑事が解説します。

「CBDオイルってリラックスにいいらしい」「グミタイプも出ているし、合法なんでしょ?」。そんな軽い気持ちが、人生を一瞬で変えることがあります。
今、SNSや街中で気軽に目にするようになった“CBD”(Cannabidiol; カンナビジオール)というワード。その裏には、「知らなかった」では済まされない、リスクの境界線が潜んでいます。
2024年12月に麻薬取締法が改正され、日本では“大麻由来成分”の扱いが大きく変わりました。「部位」ではなく「成分」で規制されるようになり、微量の“THC”(Tetrahydrocannabinol; テトラヒドロカンナビノール)が検出されただけでも「麻薬」とみなされる時代に入っています。知らずにその境界を越えてしまえば、いつの間にか「犯罪者」扱いされてしまう――。今、私たちはそんな危ういグレーゾーンの中に生きています。
では、報道でよく耳にする「CBD」と「THC」とは、そもそも何が違うのでしょうか。大麻に関する基本知識と法的リスクを、元警視庁刑事として数多くの薬物事件を担当してきた筆者が解説します。
「CBD」は合法、「THC」は違法…その線引きはどこに?
厚生労働省薬物乱用対策推進会議の統計によると、2023年の薬物事件検挙者は前年比9.46%増の1万3815人。そのうち、大麻関連の検挙者は過去最多の6703人(前年比20.9%増)で、初めて覚せい剤事犯(6073人)を上回りました。
特に目立つのは若年層です。30歳未満が72.9%を占め、20歳未満だけでも1246人。10年前に比べて30歳未満は約6.6倍、20歳未満では実に15.6倍に急増しており、若者の間で“大麻への心理的ハードル”が急速に下がっていることがうかがえます。一方で、覚せい剤事犯は8年連続で減少しており、薬物乱用の中心が「覚せい剤」から「大麻」へとシフトしている実態が浮き彫りになっています。
近年、SNSやショップで目にする「CBDオイル」「CBDグミ」。大麻由来なのに合法という響きが、若い世代を中心に広がっています。しかし、2024年12月の法改正で、これまでの「部位」での規制から「成分」での規制へとルールが変わりました。
従来の法律では、大麻草の「葉」や「花穂(つぼみ)」など特定の部位が取り締まり対象でした。一方、「種子」や「茎」は規制対象外とされ、七味唐辛子に含まれる「麻の実」など、食品にも使われてきました。
問題は、葉や花穂には中毒作用のあるTHCが多く含まれるのに対し、種子や茎にはほとんど含まれていないという点でした。ところが、THCを含むリキッドやオイルを電子タバコのように吸引する製品が流行したことで、部位による規制では対応が難しくなりました。
そのため、2024年の法改正では、THCを麻薬として明確に位置づけ、成分そのものを規制対象としたのです。これにより、残留限度値を超えるTHCが検出されれば「麻薬」扱いとなります。
CBDは精神作用がほとんどなく合法ですが、製造工程の甘い粗悪品ではTHCが混入しているケースもあります。つまり、「合法と書いてあった」だけでは、もはや安全とは言えないのです。



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