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北村龍平監督、最新作「ダウンレンジ」で原点回帰「町のけんか屋みたいなスタイル」

映画「あずみ」「ルパン三世」などを手がけ、9月15日に最新作「ダウンレンジ」が公開される北村龍平監督にインタビュー。アイデアの着想や、米国での撮影などについて聞きました。

北村龍平監督
北村龍平監督

 映画「あずみ」や「ルパン三世」を手がけた北村龍平監督の最新作「ダウンレンジ」。6人の大学生が車に相乗りし山道を走っていると突然、タイヤがパンク。しかし、タイヤを交換し始めると、パンクはアクシデントではなく、何者かに銃撃されたことが分かり…次に学生たちが狙われる「ソリッドシチュエーションスリラー」です。

 オトナンサー編集部では、北村監督にインタビューを実施。アイデアの着想や、米国で撮影することの面白さ、影響を受けた映画などを聞きました。

お金をかけずにエッジの効いたものを

Q.今作は、監督の原点回帰のようなところがありましたか。

北村監督(以下敬称略)「今はハリウッドを拠点にしているのですが、向こうの仲間とのミーティングの中で今回の強力なコンセプトを思いついたんです。20年間信頼している、『この世界の片隅に』の真木プロデューサーに電話し、アイデアを伝えたら、『面白い、やろう』と言っていただけました。

だてに10年住んでいないので、今だったらできると伝え、ハリウッドでインディペンデントスタイルで作りました。元々僕はインディペンデントで撮った『VERSUS ヴァーサス』が世界で認められたことがきっかけで『あずみ』『ゴジラFINAL WARS』『ルパン三世』のようなメジャー作品につながっていったので。

そういうタイトルマッチのリングに上げてもらえるのはありがたいですが、たまには原点に戻って、町のけんか屋みたいなスタイルでインディペンデントで勝負してみたかったんです」

Q.達成感はありましたか。

北村「すごいあります。『VERSUS ヴァーサス』のように、内容的にやりたいようにやりきって認められた作品なので。

この手の映画で、世界で一番いい発表の映画祭はトロント映画祭の『ミッドナイトマッドネス』という部門です。最初に真木プロデューサーと話した時、僕が100%クリエイティビティーを発揮したら、必ず『ミッドナイトマッドネス』に選ばれるから、と宣言して、そして実際に選ばれて、そこから世界に広がっていったので」

Q.このアイデアはどこから出たのでしょうか。

北村「そんなにお金をかけずにエッジの効いて突き抜けたもの出したいと思い、ハリウッドで一番信頼している脚本家とお茶を飲みながら話し合いました。『何が怖いか』を話していたら、『スナイパーに狙われたら怖い』と脚本家が言い、『相手が見えない、戦いようがない、それほど怖いことはない』と同意しました。

二人で話し合い、限定空間で隠れる場所は『車の裏』しかないと。『90分も持つの?』と言われ、『だからやるんだよ』と答え、『1メートル出たら、携帯の電波が届く』などのアイデアが浮かんできました」

Q.キャストの存在感が素晴らしかったです。オーディションの基準は。

北村「『周りの空気』を見せてくれる人が好きです。周りに何もなくても、雰囲気を持っている人が演じると見えてくるんです。オーディションでは1万人以上応募が来ました。最終的に何百人か呼んで、6人に絞りました。芝居の上手な人が必ずしもベストではなく、初心者の方がよいこともあります」

Q.お気に入りのシーンは。

北村「狼のシーンが好きですね。動物と子どもだけは、言うことを聞かないから使うな、と言われていますが(笑)狼のシーンがこの映画をさらに高めている気がします」

Q.この映画で監督のこだわりは何でしょうか。

北村「シンプルな構成の作品だけに、映像や音楽にも徹底的にこだわりました。

めったに言わないのですが、100%信頼する作曲家に『俺を驚かせることができるなら、音楽は全部好きにしていい』と言いました。すると、斬新にも劇中で聞こえる音楽を全部銃の音で作ってきました。これも異常な緊張感やテンションを呼ぶ演出です。カメラワークも普通のことはやるなと言いました」

Q.米国で撮ることの面白さとは。

北村「僕の場合はハリウッド映画を見て育ってきたので、ハリウッドで映画を撮ることは自然なことなんですよ。日本でも例外はありますが、『このアイデアどう?』と言うと、企画が動き出すところが面白いです。

日本は企画書ありきで、最初に原作の有無やキャストを聞かれますが、それは本来、後の話で、まず最初に『それは面白い!』で始まるべきだと思うんです。ハリウッドは、オリジナルで勝負しようというのがあります。映画のメンツのようなものがあります。ハリウッドはやっぱりオリジナルなんですよね」

Q.次回作の構想を教えてください。

北村「僕はホラー映画で、ハリウッドでの地位を確立しつつありますが、本当はアクションが一番得意だと思います。11年くらいアクションを撮っていないので、やりたいと思っています。それがついさっき、始動しました。史上最大のアクション映画。北村龍平が一番得意なリングに戻るとどんな映画になるか、見せたいと思います」

 映画「ダウンレンジ」は9月15日から全国公開。

(エンタメチーム)