よく見掛ける「インターネット無料」物件、どんなメリット? 注意点は? 不動産鑑定士が解説
インターネット使用料が無料の物件は、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。不動産鑑定士に聞きました。

賃貸物件の中には、「インターネット使用料無料」とうたう物件があります。ネットをよく使う人にとっては、魅力的に感じるかもしれません。
インターネット使用料が無料の物件は、どのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。日頃からネットをよく使う人が契約しても問題ないのでしょうか。不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の竹内英二さんに聞きました。
入居前に通信速度などを確認すること
Q.そもそも、「インターネット使用料無料」とうたう物件があるのは、なぜなのでしょうか。大家や管理会社にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。
竹内さん「インターネット使用料無料の物件は、物件の付加価値を上げるために存在します。今から10~15年前は希少性があり、他の物件との差別化にもなりました。空室対策にもなるため、大家にとってはメリットがあります。
ただし、最近では、こうした物件は広く普及しており、他の物件との競争力を落とさないためという目的で導入している物件も増えています。
また、インターネット使用料無料といっても、プロバイダー料金が無料になるのであって、家賃とは別に貸主に対してインターネットの使用料を支払うタイプの物件が多いです。そのため、大家や管理会社にとって、使用料による収入を得ることができる点もメリットです」
Q.では、「インターネット使用料無料」とうたわれている物件のメリット、デメリットについて教えてください。
竹内さん「一般的に、インターネット使用料無料の物件は、高速インターネットが整備されています。そのため、借り主は入居後に個別にプロバイダー契約をする必要がなく、マルチメディアコンセントにLANケーブルを差し込めば、すぐに高速インターネットを使うことができるのがメリットです。
一方、デメリットは、先述のように家賃のほかに別途、インターネットの使用料が発生するケースが多い点が挙げられます。ただし、貸主に対して支払う使用料は、個別にプロバイダー契約をすることで生じる料金よりも安いケースが多いです」
Q.日頃からネットをよく使う人が「インターネット使用料無料」の物件を契約しても問題ないのでしょうか。
竹内さん「インターネット使用料無料の物件は、高速インターネットを固定料金で使い放題としているのが一般的です。インターネットのヘビーユーザーが契約しても、基本的には問題はないといえます。
ただし、インターネット使用料無料といっても業界標準の仕様が定められているわけではなく、物件によって仕様が異なります。そのため、インターネットをよく使用する人は、物件を見学する際に仲介会社や管理会社にネットの速度などを確認するのが望ましいといえます」
Q.もし「インターネット使用料無料」の物件に引っ越した後、「ネットがつながりにくい」などのトラブルが発生した場合、どのように対処したらよいのでしょうか。
竹内さん「通信設備は貸主の資産のため、借り主が勝手に修理できない部分となります。そのため、ネットがつながりにくいといったトラブルが発生した場合は、管理会社に連絡をするのが適切です。管理会社は、インターネットに限らず、入居者の困り事に対処するのが業務の一つのため、遠慮なく相談して問題ありません。
ただし、管理会社はあくまでも相談窓口の立場です。入居者から相談を受けた後に専門の修理会社に修理を依頼するのが一般的で、通信状態が改善されるまで若干時間がかかってしまうことはあり得ます」
入居後に後悔しないためにも、インターネット使用料無料の物件を契約する際は、事前にネット回線の仕様を確認しましょう。
(オトナンサー編集部)
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