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生活に不可欠な「薬局」、全部で何種類? どんな違いがある? 薬剤師に聞く

薬局は全部で何種類あるのでしょうか。各薬局の違いなどについて、薬剤師に聞きました。

薬局は全部で何種類?
薬局は全部で何種類?

 医療機関を受診後、薬をもらう場合は処方箋を持って「薬局」に行くのが一般的です。私たちの生活にとって欠かせない薬局ですが、実は立地によっていくつか種類があるのをご存じでしょうか。薬局は、何種類あるのでしょうか。それぞれ、どのような違いがあるのでしょうか。薬剤師の真部眞澄さんに聞きました。

一般薬局は「調剤基本料」がやや高め

Q.そもそも、薬局は何種類あるのでしょうか。

真部さん「薬局は、4種類に分けることができます。まずは『一般薬局』で、これは商店街など、街中にある薬局のことを指します。ドラッグストアと呼ばれる店舗もこちらに含まれます。

病院やクリニックのすぐ近くに薬局が設置されているのを見掛けることが多いと思いますが、こうした薬局のことを『門前薬局』と言います。また、病院の敷地内にある薬局は『門内薬局』、病院の建物の中にある薬局は『院内薬局』と、それぞれ呼ばれています」

Q.薬局の形態によって、薬の価格は異なるのでしょうか。

真部さん「薬局の形態によって、薬自体の価格が変わることはありません。ただ、一般薬局の場合、他の形態の薬局よりも『調剤基本料』がやや高めに設定されている傾向にあります。

なぜかというと、病院の近くや病院の敷地内に薬局がある場合、患者は、よほどの理由がない限り、病院から近い薬局に行く傾向にあるからです。つまり、患者が薬局を利用しやすい条件が整っています。

一方、街中にある薬局は地域住民にとっては便利ではありますが、どうしても集客が難しくなりがちです。さらに、かかりつけの薬局として、地域の人の健康をサポートするという役目も求められています。

こうした理由もあって、ドラッグストアなどの一般薬局で薬を処方してもらうと『価格が少し高い』と感じる人がいるかもしれません」

Q.4種類の薬局の違いについて、教えてください。

真部さん「薬を調剤する上での大きな違いはありませんが、一般薬局は先述のように、地域の人の健康をサポートする役割があります。反対に、医療機関の敷地内にある薬局や施設内にある薬局は、その病院の患者のサポートが中心となります。

また、常時取り扱う薬の種類がそれぞれ異なるという点が大きな特徴です。門内薬局や院内薬局は、その病院で診察可能な病気や症状に関する薬の取り扱いが豊富であることが多いため、より専門性の高いケースだと迅速な対応ができると思います。

しかしこの点について、かかりつけの薬局は常に患者の来局に合わせて、次回分の薬を準備しているため問題はありません。

また、先述のように、医療機関の敷地内にある薬局は患者が足を運びやすいため、集客力が高いですが、その分、薬を受け取るまでに時間がかかるケースが多いというデメリットも考えられます」

* * *

 普段何気なく利用している薬局ですが、立地によって種類が分けられていることが分かりました。もし薬局が専門的な薬を取り扱っていない場合、取り寄せのために時間がかかることがあるため、門内薬局や院内薬局がある場合はそちらを利用するのも良いのかもしれませんね。

 ただし、一般薬局でもかかりつけの薬局であれば、次の来局に合わせて薬を準備していることが多いため、2カ所以上の医療機関を受診している場合はこちらがお勧めです。

(オトナンサー編集部)

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真部眞澄(まなべ・ますみ)

薬剤師

東京薬科大学を卒業後、日商岩井(現・双日)に勤務。結婚、出産後、調剤薬局に23年間勤務をしながら「お薬だけに依存させない薬剤師」として活動中。現在お薬を飲み始めた40代・50代の女性に、薬だけに頼らない改善策をアドバイスしている。薬を勧めるはずの薬剤師が薬だけに依存させないことを目指すのは、多くの患者の10年後、20年後の薬の量が2倍、3倍になるのを見てきたから。初期に「より踏み込んで改善策を伝えていたら減薬や維持ができたのでは」と後悔し、これを目指すきっかけとなった。公式ホームページ(https://m-inflore.com/)。

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