意外と知られていない、ユニットバスの定義 「トイレ付きの浴室」だけじゃない? 専門家が解説
ユニットバスとは、どのような設備のことを指すのでしょうか。専門家に聞きました。

一般的に、浴室(バス)とトイレが一体となった設備は、「ユニットバス」と呼ばれます。「ユニットバスでもOK」「バス・トイレは別じゃないとダメ」といった基準で賃貸住宅を選ぶ人は多いのではないでしょうか。
ところで、ネット上では「ユニットバスは、浴室とトイレが一体化した設備だけではない」という情報があります。そもそも、ユニットバスとはどのような設備なのでしょうか。なぜ浴室とトイレが一体となった設備のことをユニットバスと呼ぶようになったのでしょうか。不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の竹内英二さんに聞きました
1964年の東京五輪がきっかけという説も
Q.そもそも、「ユニットバス」とは、どのような設備のことを指すのでしょうか。
竹内さん「ユニットバスとは、天井や床、壁、浴槽などを部品別に工場で生産した上で、現場で組み立てるタイプの浴室のことを指します。必ずしも、洗面台やトイレが設置された浴室を指す言葉ではありません。
つまり、部品を組み立てて造られた浴室は、洗面台やトイレが設置されていない場合でも、ユニットバスに該当します。現在、集合住宅で採用されている浴室の多くは、基本的にユニットバスです。
浴室のみのユニットバスと使い分けるという意味で、浴室と洗面台が一体となった設備は『2点ユニットバス』、浴室と洗面台、トイレの3つが一体となった設備は『3点ユニットバス』と呼ばれています」
Q.なぜ浴室とトイレが一体となった設備のことをユニットバスと呼ぶようになったのでしょうか。考えられる理由について、教えてください。
竹内さん「一説によると、日本で最初にユニットバスを導入したのは、1964年にオープンしたホテルニューオータニのようです。当時、同年の東京五輪の開催に合わせてオープンするために、急ピッチで建設を進める必要がありました。
そのときに採用されたのが、先述の3点ユニットバスでした。ユニットバスは工期が短くなるため、短期間で大量に部屋を造るには画期的な浴室だったとされています。当時のインパクトが大きかったせいか、いまだに浴室と洗面台、トイレの3つが一体となったものをユニットバスと呼ぶ人が多いようです」
Q.現在も、バスとトイレ、洗面台が一体となった3点ユニットバスの賃貸物件は多いのでしょうか。
竹内さん「築年数が古い物件は、2点ユニットバスや3点ユニットバスのケースが多いです。ただし、近年ではそれらの設備の人気が低いことから、空室対策の意味合いも含め、新築物件では浴室にトイレや洗面台を設置しない傾向にあります。つまり、築年数の浅い物件ほど、2点ユニットバスや3点ユニットバスの賃貸物件は少ないといえます」
Q.3点ユニットバスのメリット、デメリットについて教えてください。
竹内さん「3点ユニットバスの物件は、基本的に専有面積が狭く、築年数が古い物件が多いことから、家賃が安いという点がメリットです。また、シャワーしか浴びない場合、浴槽だけを掃除すれば済むので、掃除が簡単という点もメリットだと思います。
一方、3点ユニットバスは室内が狭い上に、トイレや洗面台があるため、使いにくい点がデメリットです。お湯にゆっくりつかりたい人には向きませんし、洗面台に歯ブラシやドライヤーなどの収納スペースがない物件が多く、不便さを感じる人もいます」
(オトナンサー編集部)
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