イライラ、だるい、憂うつ…女性を悩ます「月経前症候群」のメカニズムと対処法
月経前のイライラや気分の落ち込みなど、女性が経験する月経前症候群、通称「PMS」。ネットやSNS上でもさまざまな体験談が紹介されていますが、そのメカニズムや対処法はどのようなものでしょうか。
イライラや気分の落ち込み、食欲の変化――。女性の多くが経験したことがあるはずの、月経前のこうした心身の不調は「月経前症候群(PMS)」と呼ばれ、ネットやSNS上にも「毎月イライラがひどい」「体がだるくてやる気が出ない」「憂うつになって泣いてしまう」などの声が上がっています。PMSが起きるメカニズムや対処法とは一体どのようなものでしょうか。オトナンサー編集部では、アヴェニューウィメンズクリニックの福山千代子院長に聞きました。
神経伝達物質のセロトニンが低下
Q.PMSの原因やメカニズムについて教えてください。
福山さん「PMSの原因の全ては解明されていませんが、ホルモンバランスのダイナミックな変動により、神経伝達物質である『セロトニン』の低下が大きな原因の一つと言われています」
Q.PMSになりやすい人となりにくい人の違いはありますか。
福山さん「PMSはホルモンバランスが正常な人に起きるもので、ホルモンが二相になっていないなど、ホルモンバランスが悪い人には起きにくいのです。また、まじめな人ほど自分の体の変化に敏感であり、それによって余計にイライラしたりするなどの傾向が高いと思われます。うつ病の基礎疾患がある方もPMSになりやすいです」
Q.PMSの改善方法について教えてください。
福山さん「排卵を抑制させることによってホルモンの変動を一定にする低用量ピルの服用があります。また、多岐にわたるPMS症状に対し、イライラや落ち込みには加味逍遙散(かみしょうようさん)、冷えや頭痛、むくみには当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などを服用する漢方療法などがあります。PMSが起きる月経前の時期に、セロトニンの基となるアミノ酸やビタミンのサプリメントの処方、点滴を行う医療機関もあります」
Q.その他、日常生活における対策はありますか。
福山さん「PMSが起きることはすなわちホルモンバランスが良い証拠です。卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)がきちんと月経周期に合わせて分泌され、ホルモンバランスが変化しているからこそ起きます。その上で、ご自身の月経周期をきちんと把握し、どの時期にどういう症状が起きるのかを理解して対処していくことが大切です。『PMSの時期だから、いつもより多少イライラしても仕方ない』と思うことで心に余裕が生まれます。また、ヨガや軽い運動などでリラックスしたり、一人でゆっくり過ごしたりするなど、自分に合った方法で早めにケアを行いましょう」
(ライフスタイルチーム)
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