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宇多田ヒカルさん「卵をゆでる時、水に酢を足すと殻がスルスルとむける」投稿話題に、実際には?

宇多田ヒカルさんが紹介した、ゆで卵の殻をむきやすくするために「水に酢を少し足す」方法がSNS上で話題に。「やってみたい!」といった

水に酢を入れたら殻がむきやすくなる?

 歌手の宇多田ヒカルさんが昨年末「卵を茹(ゆ)でる時に水にお酢を少し足すと嘘みたいにスルスルと殻が剥(む)けるってことを知ったのが今年一、二の衝撃」とツイート。SNS上でたちまち話題になり「やってみたい!」「お酢を入れるのは割れた時に白身が飛び出ないためだったような…」「殻にヒビを入れてからゆでるとつるんとむけるよ」「ゆで上がった卵を冷水で十分冷やすとむきやすいですよ」などと盛り上がりました。酢を入れることで、本当にゆで卵の殻がむきやすくなるのでしょうか。

 オトナンサー編集部では、JA全農たまご経営企画本部の中西沙代さん(管理栄養士)に聞きました。

科学的には有効と言えるが…

Q.そもそも、ゆで卵の殻はどうしてきれいにむけない場合があるのでしょうか。

中西さん「一般的には、炭酸ガスによって内圧が高まり、卵白と卵殻膜の付着が多くなるため、殻がむきにくくなることがあると考えられます。文献によると、殻のむきやすさは卵の鮮度によって異なり、鮮度の指標の一つが『卵白pH』です。産卵直後の新鮮なpH7~8程度の卵は、加熱により卵殻膜と卵白の癒着が発生し、殻に卵白がくっつくなどして殻がむきにくくなります。しかし、産卵から時間がたつと、炭酸ガスが自然と気孔から抜けて卵白pHは高くなります。つまり、むきやすさの点からするとpHが9.0付近になる『採卵後1週間程度保管した卵』がよいと考えられます。ただし、古くなりすぎると硫化黒変や卵黄の偏芯、気室の増大といったデメリットも発生するので要注意です」

Q.ゆで卵の殻をきれいにむく方法として、宇多田さんの方法は有効ですか。

中西さん「科学的には有効と言えます。『温泉たまごを割った時、殻に白身がたくさんくっついていた』という経験のある方もいらっしゃると思いますが、卵の殻をきれいにむくためには、卵白が十分に固まった状態が好ましく、完全に固まっていない半熟たまごはむきにくくなります。卵白の立体構造が変わる『変性』には、熱によるものとpHによるものがあり、宇多田さんの『卵をゆでる時に水にお酢を少し足す』は後者にあたります。酢を入れることによってpHを酸性にし、タンパク質の凝固を促進して殻をむきやすくしたと言えるのです。pHを下げることで、卵白タンパク質の等電点付近になります。この点付近では卵白タンパク質の表面電荷がゼロになり、変性タンパク質の疎水結合によって卵白を凝固しやすくしているのです。ただし実際に産卵後2日の卵を使って比較実験したところ、酢を加えたものと水だけのもので明確な差は確認できませんでした。酢を使った方法は科学的に有効ではあるものの、必ずしも実用的とは言えないのかもしれません」

Q.ゆで卵をゆでる時に塩を入れるのも有名な方法ですが、塩にはどのような効果があるのでしょうか。

中西さん「塩にも酢と同様の効果があります。ゆで卵を作る時に塩や酢を少量入れるとよいのは、それぞれ加熱変性したタンパク質の分子表面から電気的反発力を打ち消し、変性タンパク分子がよりつながりやすくなるためです」

Q.ほかの投稿にある「殻にヒビを入れてからゆでる」「ゆで上がった卵を冷水で十分冷やす」は実際に有効ですか。

中西さん「どちらも有効です。まず殻にヒビや小さな穴を入れてからゆでると、先に述べた卵内の炭酸ガスを抜くことができます。実際に産卵後2日の卵を使って試したところ、卵が温かい状態でも殻がむきやすく、効果を感じられました。一方、冷水で十分冷やすと殻も中身も冷えて縮みますが、両者は収縮の程度の差が違うことから、殻の内側にある薄皮部分の卵殻膜と中身との間にすき間ができます。このすき間のおかげで卵の殻がはがれやすくなるのです。また、冷水につけて卵の殻の外側が冷えると、まだ熱い卵の中身から出た蒸気が冷えて水となり、殻と中身の間に水がたまった状態になります。その水が殻と白身の密着を防ぐので殻がむきやすくなるとも考えられます」

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