「私、生理的に合わないと気付きました」 話合う相手なのにお断り、35歳女性の決断
会っているうちに「女性として」好きになるのではないか
宮崎洋一さん(仮名)はこれまで、婚活をしたことがなく、結婚相手は生活していくうちに自然と出会えるものだと思っていました。しかし、40歳になって、「このままでは一生独身なのではないか」と不安になり、婚活することを決意しました。
そして、お見合いをして交際に入ったのが、小林さなえさん(39歳、仮名)です。お見合い婚活が初めての洋一さんに、私は婚活を成功させるための秘訣(ひけつ)を伝えました。
「自然な出会いと婚活の出会いはそもそも、性質が違うんですよ。自然な出会いは生活圏内にお相手がいて、お人柄を知って、そこに引かれて恋愛をする『気持ち先行型』です。ところが、婚活はプロフィルでお相手の条件を知り、お見合いをして交際に入ると、お相手の人柄はまだよく知らないうちに結婚に向かって歩き出すんです。ですから、まずは相手を知っていくことが大事。それには、毎日LINEをしたり、最低でも週に1回はお会いしたりして、お互いの人柄を知っていくといいですよ」
根が真面目な洋一さんは私から言われたことを実践し、さなえさんに毎日LINEを入れ、週に1度はお会いしていたようです。その交際が1カ月半たった頃、さなえさんの相談室からこんな連絡が来ました。
「お見合い以来、とてもよい交際をさせていただいているようです。毎日LINEを頂けるのを楽しみにしていますし、週1で食事をしたり、最近は車で遠出もしたりしたようです。小林の中では、宮崎さまがとても大切な存在になりつつあります」
さなえさんの相談室から来た内容をそのまま、洋一さんにメールで伝えると、こんな返信が来ました。
「ありがとうございます。そうやって言っていただけて、とてもありがたいです。引き続き、お会いしていきたいと思います」
そして、また1カ月が過ぎ、今度はさなえさんの相談室から、「そろそろ真剣交際を考えていただけませんか?」という連絡が来ました。そのことを伝えると、洋一さんが言いました。
「実はお会いしたときから、人としては本当にいい人だと思っていたんです。ただ、女性として好きかというと、そこがまた違う。僕はもう10年以上、女性とのお付き合いがなかったし、20代の若い頃とは違うのだから、LINEでやりとりしたり、お会いしたりしているうちに『好き』という感情が芽生えてくるんじゃないかと思ったんです。ところが、何回お会いしても、人としては素晴らしいのに女性としては好きにならない。今、真剣交際に入っても結婚まで進める自信がないので、もう少し、このままお付き合いをさせていただいてもよいでしょうか?」
しかし、そこから3週間くらいして、さなえさんの相談室から、「交際終了」の連絡が入ってきました。相談室の仲人さんは言いました。
「小林が結婚についての具体的な話題を出すと、宮崎さまはどうも話をはぐらかすようになり、1カ月前は『12月にイルミネーションを見に行こう』とか、『年が明けたら初詣に行こう』とか、将来につながる話をしてくれたそうなんですが、そういう話題が全くなくなったようです。小林は『交際が前に進んでいる感じがしないし、どちらかというと後退している気がするので、もう交際終了にします』とのことでした」
これを洋一さんに告げると、ホッとしたような声で言いました。
「交際終了になってよかったです。いい人だったし、こんな自分に好意を寄せてくれる女性は貴重だと感じていたから、僕からは断ち切れなかったんです。人として素晴らしくても、女性としては魅力を感じなかった。こんなことを思っている自分が上から目線で嫌だったので、何とか好きにならないかとお会いしていたんですが、結婚を現実問題として捉えたとき、やっぱり難しいなと。僕が決断できなかったから、かえって、さなえさんの時間を無駄に引っ張ってしまって申し訳なかったです」
結婚相手というのは、単なる共同生活者ではありません。お互いをパートナーとして愛していないと成り立たないのです。信頼関係と一緒に「相手に触れたい」「男女関係も持ちたい」という気持ちがないとうまくいきません。
人として信頼できることと、女性として愛することは感情が全く別なのです。
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