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なぜ今? 企業や経済団体は嘆きも…コロナ禍で「最低賃金28円上げ」は妥当?

コロナ禍での賃金引き上げは妥当?

Q.コロナ禍での最低賃金28円の引き上げの目安が示されたことについて、「なぜ今なのか?」といった声も聞かれます。今回の引き上げの目安は妥当だったのでしょうか。

大庭さん「外出自粛や休業要請などの影響で、経営が著しく悪化している業界からは、最低賃金の引き上げに対する不満の声が続出しています。現在もコロナ禍は続いていますが、国は国民のワクチン接種が進んでいることを理由に、経済回復のめどが立ち始めているという認識を持っています。その認識の下、『所得格差是正』『地方活性化』という本来の目的を推し進めるために最低賃金の引き上げを進めているのでしょう。

最低賃金引き上げの背景には、先述したような、企業の生産性向上を後押しする狙いもあります。この時期の最低賃金の引き上げに関しては賛否両論ありますが、私は、新型コロナウイルスの収束とその先にある生産性向上に企業の目を向けさせるという意味で、妥当な判断ではないかと考えています」

Q.景気を回復させる上で、賃金の引き上げは必要不可欠ということでしょうか。

大庭さん「景気の回復と最低賃金との関係に関して、コロナ以前の政府は『最低賃金の引き上げにより、消費が拡大し、消費の拡大が企業業績の向上を後押しし、業績が向上した企業が賃金を引き上げ、それがさらなる消費の拡大を生む』という好循環を描いていました。

このモデルはその当時の状況においては正論であり、景気を回復するには賃金の引き上げが必要不可欠だという見方が世論からも受け入れられてきました。しかし、コロナ禍で先が見通せない状況となった現在では『賃金の引き上げ、イコール消費の拡大とはならないのではないか』という懸念も存在します。

あくまで個人的な考えですが、新型コロナウイルスの収束を見据えた景気の回復に関しては、企業の生産性向上が前提となり、それを後押しする要因(きっかけ)の一環として賃金の引き上げを促すことが効果的で、かつ必要不可欠でもあるという考え方で臨むのがよいのではないでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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大庭真一郎(おおば・しんいちろう)

中小企業診断士、社会保険労務士

東京都出身。東京理科大学卒業後、企業勤務を経て、1995年4月に大庭経営労務相談所を設立。「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心に企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。以下のポリシーを持って、中堅・中小企業に対する支援を行っている。(1)相談企業の実情、特性に配慮した上で、相談企業のペースで改革を進めること(2)相談企業が主体的に実践できる環境をつくりながら、改革を進めること(3)従業員の理解や協力を得られるように改革を進めること(4)相談企業に対して、理論より行動重視という考えに基づき、レスポンスを早めること。大庭経営労務相談所(https://ooba-keieiroumu.jimdo.com/)。

コメント

1件のコメント

  1. そもそも、長引くデフレ不況で需要が減っているのに、最低賃金だけを上げては企業の経営を圧迫するだけです。
    政府がデフレ脱却のための財政出動をせず、企業のみに負担を強いるのは無責任この上ないです。