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格安スーパー&100円ショップが“銀座”出店 もうかるの? メリットを経営コンサルタントに聞く

100円ショップや格安スーパーのような、手頃な価格で商品を販売する店舗が東京・銀座に出店するメリット、デメリットについて、経営コンサルタントに聞きました。

スーパー「オーケー銀座店」が入るビル(東京都中央区、時事通信フォト)
スーパー「オーケー銀座店」が入るビル(東京都中央区、時事通信フォト)

 日本でも地価が高い地域の一つが東京・銀座ですが、近年、100円ショップや格安スーパーなど、手頃な価格で商品を販売する店舗が出店するようになりました。建物の賃料が高いにもかかわらず、なぜ出店するのでしょうか。経営コンサルタントの大庭真一郎さんに聞きました。

「知名度」「品質イメージ」向上が目的

Q.近年、東京・銀座では、100円ショップや格安スーパーなど、安価な商品を販売する店舗が増えていますが、なぜなのでしょうか。考えられる理由について、教えてください。

大庭さん「100円ショップや格安スーパーなど、庶民をターゲットにしている小売事業者が銀座のような一等地に進出する主な理由は、『知名度の向上』と『品質イメージの向上』です。

銀座は、国内外から多くの観光客が訪れる場所です。その地域で店舗を構えることにより、訪れた人に存在を認知してもらうことができ、国内外への知名度向上を図ることができます。

また、高級ブランド店が立ち並ぶなど、高級な雰囲気がある銀座は、『高品質』というイメージが定着しています。そのような地域に進出することで、企業全体での品質イメージの向上を図ることができます。

事業者は、これらの付加価値が得られれば、建物の高い賃料を支払ってもお釣りがくると経営的に判断をしています」

Q.100円ショップや格安スーパーなどが東京・銀座に出店するメリット、デメリットについて、顧客、事業者双方の視点でそれぞれ教えてください。

大庭さん「メリットとしては、先述の『知名度の向上』『品質イメージの向上』に加え、『集客力の向上』などが考えられます。知名度や品質イメージの向上が図られることで、今後、新規店舗を出しやすくなるほか、本業とは異なる業態での新規ビジネスも展開しやすくなるでしょう。また、銀座は常に多くの人が訪れる地域であり、開店当初から多くの集客を見込むこともできます。

デメリットとしては、『コストが高くなる』『顧客からの期待値が高くなる』『激しい競争に巻き込まれる』などが考えられます。銀座は建物の賃料が高いため、固定的なコストも高くなり、その分、利益が出にくくなります。

また、先述のように『銀座=高品質』というイメージが定着しているため、商品や接客などに対する顧客からの期待値も高くなり、その分、厳しい評価が生まれやすくなります。さらに銀座では、たくさんの店舗が営業しているため、業種によっては激しい競争に巻き込まれることになります」

Q.100円ショップや格安スーパーなどが、東京・銀座のような高級店が多く立ち並ぶ街に進出したことについて、ネット上では「日本経済が衰退している証拠」といった意見もあるようですが、その点についてはどのように感じますか。

大庭さん「『格安店が進出することで、銀座のハイソサエティーなイメージが損なわれる』『高級品やブランド品が売れなくなるのではないか』などと考え、『日本経済が衰退している証拠ではないのか』と指摘する人がいます。

確かに、銀座のような一等地に格安店が進出できる背景には、低価格商品に対する需要の高まりがあることも事実なのですが、『物が売れなくなった』ということではありません。『消費に対するニーズが多様化している』ということが根底にあるのではないでしょうか。

安い物であっても高級なブランド物であっても、消費者のニーズに合った物だから売れるわけであり、売り手側がニーズに合った商品を開発・販売する努力を惜しまなければ、日本経済を維持できるはずだと私は考えます。

以前に比べて新型コロナウイルスの流行が落ち着き、インバウンド需要も回復しました。それに伴い、国内の商業地もにぎわいを見せています。銀座においても、格安店の進出が集客力向上への相乗効果をなし、それぞれの事業者が消費者のニーズに合った商品を販売することで、地域経済の成長が実現されるのではないでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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大庭真一郎(おおば・しんいちろう)

中小企業診断士、社会保険労務士

東京都出身。東京理科大学卒業後、企業勤務を経て、1995年4月に大庭経営労務相談所を設立。「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心に企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。以下のポリシーを持って、中堅・中小企業に対する支援を行っている。(1)相談企業の実情、特性に配慮した上で、相談企業のペースで改革を進めること(2)相談企業が主体的に実践できる環境をつくりながら、改革を進めること(3)従業員の理解や協力を得られるように改革を進めること(4)相談企業に対して、理論より行動重視という考えに基づき、レスポンスを早めること。大庭経営労務相談所(https://ooba-keieiroumu.jimdo.com/)。

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