山田孝之“監督”佐藤二朗に感服「よく作業できるなと、僕はできません」

　映画「はるヲうるひと」で主演を務める俳優の山田孝之さん。同作は、島の置き屋で働く次男の得太（山田さん）は長男の哲雄（佐藤二朗さん）から、子分のように扱われています。長女のいぶき（仲里依紗さん）は長年患っている持病で伏していて、女を売る家で唯一、女を売らないため、遊女たちから嫉妬されていますが…佐藤さんが主宰する演劇ユニット「ちからわざ」の同名舞台の映画化です。

　オトナンサー編集部では、山田さんにインタビューを実施。佐藤監督との仕事の感想や出演の経緯などを聞きました。

こうしてと、オーダーはなし

Q.監督としての佐藤さんとのお仕事はいかがでしたか。

山田さん（以下敬称略）「一度、スタッフさんたちとご飯に行ったときにもそんな会話が出ました。この題材で、ご自身も俳優としても出演されていて、それと対峙（たいじ）するのが僕の得太だったり、他の俳優さんたちじゃないですか。主観的にならないと演じられないのに、客観的に監督として全体を見ながら、よく作業できるなと思いました。僕はできません」

Q.映画「デイアンドナイト」のときはプロデューサーとして参加されていますが、俳優としては参加されていませんね。

山田「そうですね。監督もこの間しましたが、監督やプロデューサーをするときは芝居はしません。俳優のときも掛け持ちはしないです」

Q.出演の経緯を教えてください。

山田「二朗さんと福田組で一緒になったときに台本を読ませてもらって、ぜひ出演したいと言いました」

Q.台本を読まれていかがでしたか。

山田「得太がかわいそうで涙が出ました。どれくらい前に二朗さんが得太を生み出したのかは分かりませんが、生まれた瞬間から、ずっと孤独でいた人だから、僕くらいは得太のことを知ってあげた方がいいんじゃないかと思って受けました。とにかく、得太に寄り添ってあげなきゃダメだと思いました」

Q.佐藤さんは自由に演じさせてくれる監督でしたか。

山田「基本的にそうですね。台本が来たら、俳優がどれだけ作り込むかです。作るというのは記憶を作るという作業ですが、それで現場で演じてみて、あまりにも違ったら、演出をつけられると思います。こうしてというオーダーはなかったです」

Q.現場の雰囲気を教えてください。　

山田「閉塞（へいそく）感がすごくありました。それは僕が得太役だったからかもしれませんが、実際に島にいると思って演じるので、すごい空気感でした。クランクインの前日に入りましたが、その日に気持ちがどん底まで落ちてしまいました。空き時間に他の仕事をしようかと思ったのですが無理でした。ホテルは海沿いで、きれいなところでしたが、ここに得太はいたのかと思って、どん底の気分になりました」

Q.普段、リフレッシュにしていることはありますか。
　
山田「何年か前から、サウナがはやっているじゃないですか。家でもできるようにして、熱い風呂に入って、冷たいシャワーを浴びて、外気に当たると頭がさえてスッキリしたので、これはみんなハマると思いました。疲れを癒やすというより、精神的にリフレッシュするためにしています。おすすめなので、皆さんも試してみたらいいのではないかと思います」

Q.演じる際に気を付けていることを教えてください。

山田「体幹を鍛えることです。どんな役でも関係なくやります。バランスが崩れて事故を起こす可能性もありますから。自分の体を思い通りに動かせるように気を付けていますね」

ヘアメーク：灯（Rooster）
スタイリング：五月桃（Rooster）

　映画「はるヲうるひと」は6月4日から全国公開。

（オトナンサー編集部）