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吉沢亮に浜辺美波、森七菜…実力派若手役者が「アニメ声優」をする深い意味

歓迎すべき、2次元と3次元のクロスオーバー

 そういえば、先日、「ネプリーグ」(フジテレビ系)で「もしも実写版『鬼滅の刃』で竈門禰豆子をキャスティングするなら誰?」というアンケートのベスト5が紹介されていました。その結果は「1位 橋本環奈、2位 浜辺美波、3位 今田美桜、4位 永野芽郁、5位 広瀬すず」というもの。このうち、1位の橋本さんや5位の広瀬さんは2次元キャラをも力技で自分のものにしてしまうタイプです。

 これに対し、2位の浜辺さんはキャラに自分をナチュラルになじませようとしている印象。その理由が垣間見える発言を最近見つけました。

 浜辺さんは現在公開中の映画「約束のネバーランド」に主演する際、実写化という話自体に驚いたそうです。というのも「元々、原作漫画を愛していて集めていた作品」だったため、「できるのかという不安が、他の作品の実写化よりもありました」(オリコンニュース)と語っています。

 かと思えば、昨年、ヒロインの声を演じた映画「HELLO WORLD」のパンフレットの中でアニメの演技の難しさに言及。「マイクに向かってしゃべる」ことや「ここから何秒後にせりふが始まると決められている」ことに戸惑ったといいます。このせいで焦り、「最初の一音が薄くなってしまったりした」と明かしています。

 こうした原作へのリスペクトだったり、演技の違いについての認識だったりというものが実写化に臨む際のスタンスにも表れているのでしょう。そこが、浜辺さんなら禰豆子もアリかなという信頼感を生むのかもしれません。

 そもそも、演技という意味においては役者も声優も同じです。吉沢亮さんも昨年の映画「空の青さを知る人よ」のパンフレットの中でそんな指摘をしています。

 彼はこの作品で主人公の声を担当するにあたり、いろいろなアニメを見て予習したとか。その結果、“うまい人”は「ただキャラと声が合っているだけじゃなく、表情とのマッチングも含めて、せりふに乗った感情がすごく伝わってくる」ことに気付いたそうです。そういうところは役者の演技と変わらないのだから、「声を作り込んだりするより、まずは『芝居』じゃなければダメ」というのが到達した結論だったといいます。

 そんなわけで、役者やスタッフが真面目に取り組むのであれば、2次元・3次元のクロスオーバーは大歓迎です。今はもっぱら、役者が声優もやるパターンが目立ちますが、その逆だって構わないわけですから。

 そういえば、松本まりかさんのように若くして壁にぶつかった後、声優の仕事で個性的な声の生かし方などを学び、女優としてブレークした人もいます。また、役者と声優とを自在に行き来するような人たちも。ベテランでは、アンパンマンの声から三谷幸喜さんの作品まで幅広くこなす戸田恵子さんがそうです。若手なら福原遙さん。わずか10歳にして、子ども向け料理番組のアニメパートと実写パートの両方を演じた才能は今も健在です。

 今年はコロナ禍により、エンタメ業界もさまざまな苦労を強いられました。が、その中で新たな試みも生まれ、楽しませてくれました。真摯(しんし)な葛藤はジャンルの成長や進化につながります。これからのエンタメ業界をますます面白くするためにも「ジョゼと虎と魚たち」のような試みには大いに期待したいものです。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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