安田顕「ホテルローヤル」の魅力は、美しさや醜さを抱えて生きる人の生きざま

　映画「ホテルローヤル」に出演する俳優の安田顕さん。同作は、小さなラブホテル「ホテルローヤル」が舞台で、経営者家族の一人娘・雅代（波瑠さん）はホテルの仕事を手伝っています。雅代はアダルトグッズ会社の営業・宮川に淡い恋心を抱きながらも何も言い出せず、黙々と仕事をこなすだけでしたがある日、ホテルの一室で心中事件が起こり…作家・桜木紫乃さんの直木賞受賞作品である同名小説の映画化です。安田さんは雅代の父親・大吉役で出演しています。

　オトナンサー編集部では、安田さんにインタビューを実施。原作の感想や役作り、お気に入りのシーンなどを聞きました。

北海道の美しさに改めて気付く

Q.原作を読まれた感想をお願いします。

安田さん（以下敬称略）「群像劇として、最後まで一気に読めました。人間の誰しもが持っている愛情の美しさや醜さを抱えながら、きれいごとではなく、生きている人の生きざまが随所に描かれていて、楽しく拝読しました」

Q.桜木紫乃さんから、出演オファーを受けていたそうですね。

安田「自分の作品が映画化されるときに、出演してもらえればうれしいと言っていただいておりました。光栄ですし、うれしいです。現場でお会いして、他愛もない話をさせていただいておりました」

Q.大吉の役作りでしたことはありますか。

安田「セリフを覚えて、現場でいろいろな方たちとお話しをする中で出てくるものなので、こう演じようというのはなかったです。自分より実年齢が上ということで、周りの方が衣装を着せてくださって、老けメークをしていただくということはありました」

Q.波瑠さんとは役についてお話しされましたか。

安田「波瑠さんの役も決しておしゃべりな役ではありませんでしたし、寡黙な中で心の機微を表現されている役なので、改めて、役について話し合うことはありませんでした」

Q.出演されて、新しい発見はありましたか。

安田「北海道出身の人間なんですが、ロケで北海道の美しさや広大さに改めて気が付きました。皆が描く“ザ北海道”という景色が映っています」

Q.武正晴監督とは役や作品について話されましたか。

安田「太らせてほしいと言われました。周りの方々にご協力いただき、メークで太ったように見せています」

Q.父親として感じたことはありますか。

安田「子どもが現場から抜け出したいという気持ちは分かります。子どもは居場所から離れて、どこかに行きたいと思うものだと思います。親としては、大吉も一番眺めのいい部屋を与えるなど、自分ができる最大限のことを与えていたと思います」

Q.お気に入りのシーンを教えてください。

安田「雅代が自分の環境から一歩出ようとするとき、一生懸命掃除した部屋を初めて見上げたときにクモの巣が張っているシーンです。あとは、雅代が窓から見える景色の絵を描いていて、大吉がその姿を見つめているシーンですね」

　映画「ホテルローヤル」は11月13日から全国公開。

（オトナンサー編集部）