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冷凍ギョーザは手抜きと夫、「手抜き論争」勃発 総菜や冷凍は手抜き? 料理研究家の見方

「料理の手抜き論争」が話題になりましたが、市販の総菜や冷凍食品が当たり前に販売されている中で、これらを多く食卓に並べことは「手抜き」なのでしょうか。

ポテトサラダを買うのは「手抜き」?
ポテトサラダを買うのは「手抜き」?

 先日、「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と見ず知らずの女性に言い放ったという高齢男性に続いて、妻が焼いた冷凍ギョーザを「手抜き」と断じた男性の話が、ネット上で話題となり、「料理の手抜き論争」が繰り広げられました。スーパーに食材を買いに行くと、さまざまな総菜や冷凍食品が当たり前のように販売されていますが、こうした総菜や冷凍食品を複数購入して食卓に並べることは「手抜き」といえるのでしょうか。

 料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。

デパ地下には魅力的な総菜店も

Q.料理の「手抜き」について話題になりましたが、料理はどこからが手抜きになると思われますか。手抜きの線引きは可能でしょうか。

関口さん「料理の『手抜き』に線引きはありません。料理の経験や腕前により、ベテランにとっての手抜きと初心者にとってのそれとは、当然ながら歴然とした差が出ます。また、幼い頃からの食事経験によってもボーダーラインや価値観はさまざまです。

例えば、自家製みそ、手作りのパンやお菓子など、ほとんど手作りの食べ物で育った人は、それがごく普通のことだと思うかもしれません。一方、市販のお総菜と冷凍食品を多く活用する家庭で育った人には、市販品が普通なのです。手作りかどうかより、品数が多い食卓を豊かに感じる場合もあります。

要するに、人それぞれの感じ方であるため、線引きはできません」

Q.世の中の一部には、市販の総菜や冷凍食品など、手作りではない料理を「手抜き」と低く見る風潮があるようです。

関口さん「手作りではない料理を手抜き料理として低く見るのは間違いです。最近は市販の総菜や冷凍食品もかなり工夫されており、味付けや材料、鮮度などクオリティーの高いものが存在しています。デパ地下や駅ビルには、魅力的な総菜店がひしめき、集客の目玉として考えられているほどです。

手抜きというよりは、むしろ、ぜいたく品として楽しんでいる人も増えているのではないでしょうか。高級レストランの味や世界の料理が手軽に味わえるなど、食のテーマパークのような概念に変わってきました。

冷凍食品に関しても、例えば、フランスの冷凍食品専門店の『Picard(ピカール)』が日本に進出して、都心部を中心に直営店舗を展開し、本格的なフレンチ食材や電子レンジ調理で簡単に食べられる商品がずらりと並んでいます。簡単でおいしくて便利なものを活用するのは海外では当たり前で、冷凍食品の販売面積を見ても一目瞭然です」

Q.栄養面や塩分摂取量などを考慮した上で、手作りではない料理を毎日のように食卓に並べることは健全でしょうか。不健全でしょうか。

関口さん「手作りの料理だから健康的で、市販の総菜だから健康的でないとはいえません。手作りの料理であっても栄養バランスが悪く、嗜好(しこう)の偏りが懸念されることは多々あります。油物や濃い味付けを好む、偏った食材ばかり使う、食品の品数が少ないなどはよく見受けられるケースです。

市販の総菜を上手に選ぶことで、手作り料理よりも健康的な食卓にできることもあります。例えば、ご飯、焼き魚、冷ややっこ、もやし炒めという献立の場合、あと1品市販のホウレンソウのごまあえを加えることで、より栄養バランスが整います。

また、ご飯と作り置きの煮物や副菜がある場合、市販の総菜から鶏肉の照り焼きを追加すれば、バランスのよい食事になります。どんな食品を選ぶかで、市販の総菜で健康的な食事にすることは可能です」

Q.海外では、冷凍食品などの活用が当たり前とのことですが、なぜ、日本では「手作りの料理」にこだわる人が多いのでしょうか。

関口さん「諸外国に比べて女性の社会進出が遅れたことや、男尊女卑の歴史が関係していると思います。昨今の日本では、男女差は徐々に少なくなってきましたが、親世代にさかのぼると、女性は結婚したら家庭に入るもの、子どもが生まれたら仕事はやめるものという考え方が当然のことでした。

炊事は女性の仕事、台所は男の入るところではないという風潮は現在まで尾を引いて存在し、親世代から受け継いだ家庭生活のイメージ、つまり『主婦手作りの料理が食卓に』という考えにとらわれている人が多いと思います。『お手製』『愛妻弁当』という言葉には、手作りを『愛情表現の一つ』と考える思想も見えます。そうした背景から、手作り料理にこだわる人が多いのではないでしょうか」

Q.「料理の手抜き論争」について、どのように思われますか。

関口さん「食事は心身の健康づくりが大きな目的です。手抜き論争によって、『料理は手作りでないといけない』という義務感やストレスにさいなまれては、本末転倒です。手作りの料理に固執するのではなく、栄養面やおいしさに配慮すれば、市販の総菜や冷凍食品を食卓に並べることも全く問題ありません。

先述したように、多くの日本人は手作りの食事に愛情や安心感を覚える傾向がありますが、一方で、便利な調味料や加工品、半調理品などが続々と開発され、誰でも簡単に作れるように進化し続けています。便利なものはどんどん取り入れ、その分、心のゆとりを持つことが、真に豊かな家庭生活を送る上で大切ではないかと思います」

(オトナンサー編集部)

関口絢子(せきぐち・あやこ)

料理研究家・管理栄養士・インナービューティースペシャリスト

米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー。企業やウェブサイトなどの各種メディアで、レシピやコラム、企画提案などを行う。斬新なアイデアやニーズを捉えた企画が人気を博し、CM用のフードコーディネートやフードスタイリング、商業施設のフードプロデュースなど多岐にわたり活動。「毎日続けられること」をモットーに簡単・おいしい・おしゃれ、かつ美容と健康に直結したレシピを発信。自らの体調不良を食で克服した経験から執筆した著書「キレイになる!フェロモンレシピ」で「食から始めるアンチエイジング」をテーマに、女性が一生輝き続けるための食事法を紹介。セミナーや女性誌の特集で人気を集めている。

■オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/ayako-sekiguchi/
■YouTubeチャンネル「管理栄養士:関口絢子のウェルネスキッチン」(https://www.youtube.com/channel/UC6cZRYwUPyvoeOOb0dqrAug

管理栄養士:関口絢子のウェルネスキッチン

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