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日本でもじわり浸透 米国発「地元ファースト」の企業作りとは

2010年創業のスナック菓子メーカーに学ぶ

 今回の視察では、7社の認定Bコーポレーションを訪問、または、経営者と話す機会がありました。7社の企業規模は異なっていましたが、地元の雇用を優先し、地元のサプライヤーや下請け、地元の顧客を優先する姿勢は共通でした。特に、自社製品を国外にも販売している「グルテン・フリー・バー」(GFB)というスナック菓子の製造会社は、小麦粉アレルギーに悩まされていた2人の兄弟(エリオットとマーシャル・レーダー兄弟)が、グルテン(小麦などに含まれるタンパク質)を含まないスナック菓子を作ろうと2010年に創業した会社です。

 現在、全米9000カ所の店舗のほか、カナダや欧州の一部でも販売されています。実際に、GFBのオフィス兼工場を訪れると、9000カ所にスナック菓子を卸しているとは思えないほど小さな工場でした。しかし、生産性を上げるために、地元の機械メーカーに特別な機械を発注し、仕様の変更を継続的に行うなど、製造工程の効率化とスピードアップを図るために、機械の配置などを工夫しています。

 共同創業者のエリオットに、「GFBのスナックはすでに全米で販売されており、海外への進出も進んでいる。生産拠点をこの工場ではなく、売上高の高い地域の近郊に移すなど、今後検討することはないのか」と質問したところ、「まったく考えていない。自分たち兄弟がアレルギーだから分かることだが、アレルギー成分を取り除いた製品を作るには、製造工程のクオリティーがとても重要だ。この工場は、そのクオリティーを管理し、何か問題があれば、すぐに対応できる。工場の機械も地元の企業が製造しているので、メンテナンスもすぐに応じてくれる。オンライン販売など、製品・商品の物流網が全米およびグローバルに発達しているため、クオリティーを維持した製品を地元で作り、それを全米各地や海外に届ける方がよいと考えている」と答えてくれました。

 短期間に急成長した企業は、その成長を維持するために事業の拡大を目指す戦略を取ります。しかし、彼の話を聞いた時に、まさに、Bigger(大きさ)を追求するのではなく、Better(より良い)を追求する経営者の考え方を感じました。日本企業にも通じる考え方だと思いますし、同じような考え方で経営している企業は多いのではないでしょうか。

 生産地と消費市場の地理的なギャップを埋めることが、グローバル化の大きな流れとしてあったように思われます。しかし、製造業のグローバル化とともに物流網のグローバル化も進んだ結果、GFBのような専門性の高い製造メーカーは、優れたクオリティー管理と販売のグローバル化による物流網の活用を同時に目指せるのではないでしょうか。

 こうすることで、企業は自社の成長を海外生産に求めるのではなく、地元での生産を維持し、地元の雇用や消費の増加につなげつつ、自社の成長を達成することができるのではないかと思います。

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