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「中立」「公平」な放送とは何か いま問われるキャスターの矜持【後編】

キャスターが紡ぎ出す言葉の意義

 ネット社会の進展は「言葉」の持つ意味を、私たちに突き付けます。昨今、おびただしい数の言葉が舞い、コピペされ、増殖し、消費されています。SNSでひとたび批判が巻き起これば、「炎上」という大きなうねりが、メディアで前面に立つ人間を何も言えない状況へと追い込みます。

 そうした状況下で、テレビのニュース番組で発言するということは、いかに勇気を伴うものか。それでも、発言しなくてはならないこともあるのではないかと、この本を読むと考えさせられます。

 ネットの普及により、世界中の出来事を簡単に知ることのできる時代になりました。しかし、視聴者と社会を橋渡しするニュースキャスターの存在や、キャスターが紡ぎ出す言葉の意義は今でも大きいと、私は思っています。

 明日から、キャスターの「言葉」に注目してみてください。それをきっかけに、テレビニュースやテレビジャーナリズムが果たす役割について、これまでとは違った見方ができるかもしれません。

(駒沢大学文学部准教授 深澤弘樹)

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深澤弘樹(ふかさわ・ひろき)

駒沢大学文学部社会学科准教授、元・山梨放送アナウンサー

1969年甲府市生まれ。同志社大学卒業。1991年4月山梨日日新聞社入社。甲府市政記者を経て1992年4月から山梨放送アナウンサー。同社に18年間勤務し、テレビ・ラジオのスポーツ実況のほか、ニュースや情報番組などを担当した。山梨放送に勤務する傍ら中央大学大学院で学び、2009年3月に博士(社会情報学)取得。専門はニュース研究、スポーツ実況研究。2010年から現職。主な業績は「変容するテレビニュースとキャスターの役割」(春風社、2015年、単著)など(http://amzn.asia/9vTL2tw)。

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