マナーの悪さも問題に…ブーム過熱の「御朱印」、そもそもの意味をご存じですか?
書き損じ、押し損じも「ご縁」
Q.手書きであるため、御朱印の字がきれいではなかったり、書き手が文字を書き損なったりすることもあると思います。その場合、改めて書き直してもらえるのですか。
齊木さん「書の書き損じ、印の押し損じなどは、人が行うことなのであり得ます。しかし、改めて書き直していただくことを、御朱印の受け手からお願いすることは避けましょう。これは、神様・仏様に代わって書いてくださる書き手へ敬意を示すためです。これもご縁だと思い、素直に受け入れるほどの心で対応することが大切です。ただし、書き手の側が間違えたことを認識し、書き直しを申し入れてきたら素直にお受けしましょう」
Q.御朱印帳が古くなってぼろぼろになったり、所有者が亡くなったりした場合、どうすればよいのでしょうか。
齊木さん「御朱印は信仰行為が育んで来たものであり、それぞれの考えに基づきますが、神様・仏様とのご縁の証しですので、粗末にしないよう大切に対処しましょう。神棚にあげて引き継ぐのもよいですし、どうしても必要がなくなれば、御朱印帳をお守りのように寺社でお焚(た)き上げをしていただくのも一つの手段です。
仏教では『功徳を積む』(善い行いをする)ことで極楽浄土に行けるとされており、自身が成仏するときは功徳の証しとして御朱印帳を見せて、極楽浄土に行けるよう仏様にお願いをするという考えが現在でもあります。所有者が亡くなった際に、ひつぎに御朱印帳や納経帳を入れるのはそのためです」
Q.御朱印ブームは何がきっかけで生まれたのでしょうか。
齊木さん「2013年、20年に1度の『伊勢神宮の式年遷宮』と60年に1度の『出雲大社の平成の大遷宮』が重なり、神社やパワースポットについての特集が多く放送されたことが、一つの大きなきっかけとなったと考えられます。御朱印を集めている芸能人の情報がネットで瞬く間に広がったことも影響しているのではないでしょうか」
Q.御朱印の何が人を引き付けると思われますか。
齊木さん「御朱印が人気になったのは、(1)参拝した時の記憶を思い出せること(2)神社仏閣により御朱印が違うこと(3)アートとして楽しめること(4)かわいい御朱印帳が販売されていること(5)安らぎを感じ“癒し”につながること――が関係していると思います」
Q.御朱印の本来の趣旨が理解されず、ブームだけが独り歩きする状況をどのように思われますか。
齊木さん「ブームだけが先行し、トラブルが続出しては本末転倒です。しかし、寺社離れが進んでいる昨今、寺社の側は、御朱印ブームをチャンスと捉えるべきだと考えます。興味を示す手がかりは正直、何でもよいと思うのです。寺社に足を運んだ人に、どのようにアピールできるかが問われるのではないでしょうか」
Q.どのようなアピールの方法がありますか。
齊木さん「例えば、御朱印を頂くために行列を作って並んでいる人に、それぞれの寺社の思いやしきたりについて、紙やホームページのURLを配布して読んでもらうこともできます。そこから、真のファンや寺社へ興味を持つ人が出てきたら、それは喜ばしいことだと思います。御朱印を集める人たちの側は、お参りした人と神様・仏様とのご縁の証しとして頂く御朱印ですから、各寺社のしきたりにのっとり、丁寧に参拝してみてはいかがでしょうか」
(オトナンサー編集部)
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