オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「自然と涙が…」 うつ病で退職の29歳女性、障害年金の請求目指すも…社労士が明かした“1年6カ月の壁”

「障害認定日」を過ぎた日以降に速やかに請求するには?

 症状固定の説明を聞いた結月さんは疑問を口にしました。

「そもそもなぜ、うつ病などの精神障害は症状固定というものがないのでしょうか」

「精神障害ではその症状が日々変化しやすいため、症状固定といった診断がつかないからのようです。ある程度の時間をかけて様子を見ないことには、その障害状態がどのくらい重いのかが判断できないとされているのです」

「そうなのですね。それなら障害認定日に書類を提出できるよう、今から早めに診断書を作成してもらうのはどうでしょうか」

 この質問に私はゆっくりと首を左右に振りました。

「残念ながら、それは認められません。なぜなら、診断書の現症日(障害状態を証明した日)は、障害認定日以降3カ月以内の日付のものと決まっているからです。つまり、初診日から1年6カ月から1年9カ月の間で受診した日の障害状態を証明したものでなければなりません」

「じゃあどのようにすれば、最も速やかに請求できるのでしょうか」

「今からできることを少しずつ準備していくしかありません。具体的には、まず主治医に次のように伝えてみます。『障害年金の請求を考えているので、障害認定日が過ぎたら速やかに診断書の作成をお願いします。そのために受診日の調整をしていただくかもしれません。その際はどうぞよろしくお願いいたします』などでしょうか」

 私は話を続けました。

「さらに、診断書の作成を依頼する時に日常生活の困難さをまとめた文書も渡せるよう、あらかじめ準備しておきたいところです。精神障害用の診断書には、日常生活能力の判定といった欄があり『日常生活のそれぞれの場面において、何がどのように困難なのか』といったことを医師に証明してもらうからです。普段の問診だけでは十分に困難さが伝わらないこともあるので、事前に文書を作成しておきたいところです」

 この話に結月さんは黙ってうなずきました。それを見た私は、さらに説明を続けました。

「障害年金の請求では、『病歴・就労状況等申立書』という書類も必要になります。こちらには、発病(体調を崩した時)から請求時までの状況をまとめることになっています。この申立書には、診断書では書ききれない状況を記載することになるので、診断書と同じくらい重要な書類となっています」

「なんだか大変そうですね…。私1人でできるかどうか」

「請求に向けて私もお手伝いすることができます。何をどのようにまとめればよいのかは私が主導していきますのでご安心ください」

「それは心強いです。ぜひお願いいたします」

 結月さんはほっとした表情を浮かべました。こうして結月さんと私は、来るべき日に備え、少しずつ準備をしていくことになりました。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

【画像】「えっ…!?」これが“うつ病”の可能性がある「症状」です(画像14枚)

画像ギャラリー

1 2

浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

浜田裕也(はまだ・ゆうや) 関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

暮らし・ライフ 最新記事

暮らしの記事もっと見る

ライフの記事もっと見る

コメント

CAPTCHA