自転車も4月から「青切符」で反則金 元刑事が「取り締まりが厳しくなったわけではない」と断言するワケ
具体的にどのような行為が対象になるのか
ここで押さえておきたいのは、「新しい違反」が増えたわけではないという点です。これまでも違反とされてきた行為のうち、日常的に起こりやすく、事故につながりやすいものが青切符の対象として整理されています。警察庁の説明でも、自転車の反則行為は、信号無視や指定場所での一時不停止など、警察官がその場で明らかに違反と判断できる行為が中心とされています。
主な違反行為と反則金は次の通りです。
・信号無視:6000円
・一時停止違反:5000円
・車道の右側通行(逆走):6000円(※自転車は原則として左側通行)
・スマホを手に持って通話したり画面を見たりする、いわゆる「ながら運転」:1万2000円
・傘差し走行、イヤホンをしながら走行:5000円
・夜間の無灯火やブレーキ不良の自転車での走行:5000円
・遮断機が下りた踏切への立ち入り:7000円
こうした違反は特別な行為ではなく、日常の延長線上で起きやすいものですが、事故に直結しやすいため重点的に取り締まられています。実際に、信号無視や一時停止違反は検挙の大半を占めています。
一方で、すべての違反が直ちに反則金の対象になるわけではありません。例えば歩道を通行しているだけの場合は、従来通り指導警告が基本とされており、直ちに取り締まりの対象になるわけではありません。
ただし、歩道で速度を出して歩行者に危険を及ぼした場合や、警察官の警告に従わない場合などは、取り締まりの対象となることがあります。
なお、酒酔い運転や酒気帯び運転、妨害運転、携帯電話の使用によって実際に交通の危険を生じさせた場合などの重大な違反については、青切符ではなく、これまでどおり刑事手続きで処理されます。
事故は「一瞬の判断」で起きる
取り締まり現場の感覚として、自転車事故の多くは特別な場面で起きるものではなく、むしろ日常の延長線上で起きます。
急いでいるとき、慣れた道を走っているとき、「このくらいなら大丈夫だろう」と思ったとき、そのわずかな気の緩みが信号無視や確認不足につながり、事故に結び付きます。
特に交差点は要注意です。統計を見ても、自転車と自動車の死亡・重傷事故は、出会い頭や右左折時の衝突で8割以上を占めており、交差点で信号や一時停止を守らないことが重大な危険につながります。
制度が変わった背景には、こうした日常の中の危険があります。決して人ごとではなく、誰にでも起こり得る違反だからこそ、制度の変更が現実の生活に直結してくるのです。
ルールは「罰」だけのためにあるわけではない
自転車は、歩行者に近い感覚で利用されがちですが、道路交通法上では、自転車は「軽車両」であり、自動車と同じ「車両」の一種だと明記されています。だからこそ、ルールが曖昧なままでは、歩行者、自動車、自転車の間で認識のズレが生まれやすくなります。
今回の制度は、違反者を厳しく罰することだけを目的にしたものというより、交通ルールを守る前提をより明確にし、事故を減らすための仕組みであると言えます。
自転車を利用する人にとっては、少し窮屈に感じるかもしれません。ただ、事故の数字と制度の中身を見ていくと、これは単なる締め付けではなく、自転車をより安全に使うためのルールの整理でもあることが見えてきます。
(治安戦略アナリスト・危機管理スペシャリスト 小比類巻文隆)



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