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耳をカットされた猫…虐待ではなく、実は意義ある社会活動の一環 どんな取り組み?

切れ目がある猫は約20万匹

Q.野良猫を見つけて捕まえるのは大変では。

佐上さん「地域に密着したNPOやボランティアが、餌付きのおりで猫を1匹ずつ捕まえています。彼らは、どのような場所に野良猫が出やすいのかを把握しており、おりの設置は簡単です。餌は、キャットフードやちくわなどを用意します。一口サイズのから揚げを餌にするところもあります」

Q.不妊・去勢手術はどのように行うのですか。

佐上さん「どうぶつ基金では、捕まえた猫をNPOやボランティアから預かり、提携先の獣医師さんに連れて行きます。手術は全身麻酔なので、猫は痛くはありません。まずはおなかの毛を刈り、不妊・去勢手術を行います。同時に耳もカットします。手術時間は獣医師さんの腕によりますが、雄で30秒~1分、雌で5~15分です。慣れた獣医師さんは、1日50匹の手術を行います」

Q.現在、耳に切れ目のある猫は日本にどれくらいいますか。

佐上さん「どうぶつ基金では昨年、2万数千匹の猫に不妊・去勢手術を行い、耳にカットを入れました。これまでの累計は約8万3000匹です。どうぶつ基金の支援を受けずに、自腹で行った人や団体もあり、それが累計で8万3000匹ほどいます。これらを含めると、耳をカットされた猫は、日本に約20万匹はいるのではないでしょうか」

Q.「TNR」を行うことで、殺処分の減少以外にもよいことがあるのでしょうか。

佐上さん「雄に去勢手術を行うと、おしっこのにおいが弱くなります。雄のおしっこには、自らの縄張りをマーキングする物質が含まれ、とても臭いです。雄の猫は、縄張りの上にさらにおしっこをかけ、自分の縄張りにする習性があり、さらに臭くなりますが、手術をすることでそれがなくなります。また、野良猫が夜中に鳴き、迷惑に感じることがありますが、これは雄の雌に対する求愛行動です。去勢手術を行った雄は、求愛行動では鳴かなくなります」

Q.耳に切れ目を入れられた猫を見たとき、私たちはどのように思えばよいですか。

佐上さん「耳を切られた猫の後ろには、世話をしている人がいると思っていただき、温かく見守ってほしいです。TNRの詳細はどうぶつ基金のホームページ(https://www.doubutukikin.or.jp/)をご覧ください」

(オトナンサー編集部)

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