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「なぜ警察はクマを撃たないんだ」 SNSに広がる疑問の声…実は《警察官がクマを撃てない》明確な理由があった【元刑事が解説】

最後の砦「緊急避難」

 では、クマ対策に関して、警察は何もできないのでしょうか。ここで登場するのが、警察官職務執行法第4条(避難等の措置)です。

 この条文では、「人が死傷するおそれがある場合や、狂犬が暴れ回る場合など、危険を防止するために必要な措置を命じ、または自ら行うことができる」とされています。クマもこの「狂犬」になぞらえて解釈されるため、警察官が現場で緊急的に措置を取ること自体は否定されません。

 ここで言う「措置」とは、退避・避難誘導命令・猟友会への駆除指示などを指し、また警察官自身も、今まさに人の生命に危険が及んでいるといった場合には、自らその措置を取ることができると解されています。

 さらに、警察法第2条(警察の責務)では、「警察は国民の生命・身体・財産を保護し、公共の安全と秩序を維持する」と定めています。

 この条文を根拠に、極めて例外的に「人命救助のための発砲」が認められる可能性はありますが、現行法上、それは「人を守るための最終手段」と解されているのです。従って、「クマが出没した」という理由だけで、威嚇射撃を含む拳銃を撃つ行為は、法的に許容されているとはいえないのです。

銃弾性能から見ても「クマには不向き」?

 さらに、技術的な面でも、警察の拳銃はクマへの使用に全く適していません。

 私が現職時代に携行していたのは、スミス&ウェッソンM360J「SAKURA」や、ニュー南部M60などの回転式拳銃で、弾丸は38スペシャル弾でした。また、一部では9mmパラベラム弾を使用する自動式拳銃(オーストリア製グロックなど)も配備されていますが、いずれも人体を想定した設計です。

 これらの弾丸は「過度な致死性を避けるため」に、貫通力重視・殺傷力控えめに作られています。そのため、体重200キロを超えるクマに対しては致命傷を与えられず、むしろ痛みで興奮・暴走を招く恐れがあり、大変危険です。

 また、一時的に追い払うことはできても、山に逃げ込んだクマに対して、負傷による無駄な苦しみを長く与え、時間をかけて徐々に衰弱し息絶えてしまうという結果にもなりかねないのです。

【画像】「えっ……!」 これが《警察官がクマを撃てない》理由です

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小比類巻文隆(こひるいまき・ふみたか)

元警視庁警部補/治安戦略アナリスト・危機管理スペシャリスト

30年にわたって警察官として勤務し、危機管理の第一線を歩んできたスペシャリスト。1993年に警視庁へ入庁後、爆弾処理班を経て中国語通訳捜査官、さらに国際捜査官として、銃器・薬物犯罪を中心に情報収集や秘匿捜査、海外組織による密輸入事案の解明に従事。殺人・強盗・誘拐など重大事件の捜査本部にも多数参加。2023年に退官後は、警察での実践経験を社会に還元すべく、講演や執筆、メディア対応など幅広く活動中。現場のリアルを伝える、数少ない治安専門家のひとり。【公式サイト】https://kohiruimaki-fumitaka.info/contact

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2件のコメント

  1. 警官がクマを撃てないのは、今の拳銃では命中精度が悪いので10M離れたら無理です。
    猟銃、ライフル銃の訓練はしていませんので、特殊な隊員しか撃てません。
     今後の課題です。悪しからず。

  2. 第七条読んだけど別に人以外に撃ってはいけないとは書いてないけど?
    あくまでも、「法」の想定対象が「人間」なだけで、自己または他人の防護なら撃つべきなら撃つべきでは?
    警察官が刑事責任を負いたくないだけでは?いざ、自分がクマに襲われたら撃つでしょ?それとも撃たずに喰われるの?では、相当の理由とは何?肉食大型動物に襲われるのは相当の理由ではないのか?
    それに何も実弾である必要もないのでは?威嚇に空砲でもいいし、発煙筒を改良しクマの出る地域は常備携帯してもいいし。