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再配達削減の切り札になるか? 日本郵便×ベンチャー、玄関に宅配バッグ置く実証実験

宅配便の再配達の多さが問題となる中、玄関先に設置したバッグに荷物を入れる実証実験が注目されています。

宅配ボックスの代わりになる「OKIPPA」(公式サイトより)
宅配ボックスの代わりになる「OKIPPA」(公式サイトより)

 宅配便の再配達の多さが問題となる中、日本郵便が12月3日からベンチャー企業と共同で始めた実証実験が注目されています。実験は、対象ユーザーの玄関先に設置した南京錠付きのバッグに荷物を届けることで、不在時などの再配達の削減につながるかどうか検証するものです。ベンチャー企業の担当者に狙いを聞きました。

セキュリティー面の強化を検討

 日本郵便と実験をしているのは、物流に関するITサービスを手掛けるYper(イーパー、東京都渋谷区)です。東京都杉並区の1000世帯を対象に簡易宅配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」を無料配布し、宅配ボックス代わりに使います。実験は12月末までの予定です。

 OKIPPAは、玄関先につり下げておいて、配達員が荷物を入れ、ダイヤル式の南京錠で取り出し口を固定。ユーザーが、自分が設定した番号で解錠して荷物を取り出す仕組みです。使わないときは小さく折りたためるため、宅配ボックスのように場所を取らないのが特徴です。

 現在、公式サイトなどで3980円(税込み、以下同)で販売しています。バッグを固定するワイヤーは、通常のハサミでは切断できない加工ですが、万が一の場合でも、同社が提供するアプリのプレミアムプラン(年間980円)に加入すると盗難保険が適用され、3万円まで補償を受けられます。

 Yperは2018年9月からOKIPPAを販売。日本郵便のほか、ヤマト運輸や佐川急便などと提携して普及に努めていますが、さらなる普及促進を狙い、再配達の削減を目指す日本郵便と実証実験を行うことになりました。

 Yperの担当者に話を聞きました。

Q.OKIPPAの販売数は。

担当者「9月中旬に発売し、約5000枚を売り上げています」

Q.なぜ開発したのですか。

担当者「ネット通販で手軽に買い物ができるようになった一方、荷物の受け取りのために時間を拘束され、ストレスを感じる人が多いためです。そうした状況を何とかしたいと思い、製造を開始しました」

Q.OKIPPAの対象エリア、対象事業者は。

担当者「OKIPPAを持っていれば、日本全国で利用可能です。また、どの宅配事業者であっても荷物を入れることができます。ただ、OKIPPAを知らない配送員もいますので、例えば、ネット通販で商品を購入する際はOKIPPAの利用を明記するよう勧めています」

Q.ワイヤーは丈夫でも、袋部分が鋭利な刃物などで破損されるリスクはありませんか。

担当者「確かに刃物を使えば破れてしまいます。そこで、家電製品など高価な荷物はOKIPPAで受け取らないよう推奨しています。現在まで、盗難があったという報告はありません」

Q.日本郵便との実証実験で、手応えはありましたか。

担当者「配達員の皆さんを中心にサービスの認知が広がったと感じています。実証実験のユーザーからも『無事に荷物が届いた』などの報告を受けています」

Q.課題は。

担当者「セキュリティーに関する不安の声が寄せられています。今後はセキュリティー関連企業との提携も視野に入れ、サービスの質を高めていきたいと考えています。また、荷物が持ち戻りになってしまったという声も一部でありましたので、運用方法の確認や現場の配送拠点への周知も検討しております」

Q.なぜ、保険の加入を任意にしたのですか。

担当者「ユーザーの負担が重くなるためです。人それぞれ価値観が違うということもあります。サービスを開始後まだ約3カ月ですので、どのようなニーズがあるのかを引き続き調査していきます」

 12月はお歳暮やクリスマスなどで荷物が増えます。OKIPPAが再配達抑制の切り札になるのか、注目されます。

(オトナンサー編集部)

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